秋田駒ヶ岳から北へ稜線続きの乳頭山は、岩手県側では烏帽子岳と呼ばれている。
確かに三ツ石山方面から眺めた山容は烏帽子の形に見える。
毎回秋田県側から登っていたので、今回は趣向を変えて滝ノ上温泉を起点に周回してみた。
【 9/20 烏帽子岳(1477m) 岩手・秋田駒ヶ岳 】
滝ノ上温泉~白沼~マムシ坂~小湿原~水場~1428mの南側~主稜線分岐~烏帽子岳~主稜線分岐~笊森山鞍部~千沼ヶ原分岐~千沼ヶ原~ヤセ尾根~平ヶ倉沼~熱交換所登山口~車道~滝ノ上温泉
先週に引き続き東北道を北上する。
岩手路は夜に雨が降ったようで、路面は濡れて霧に覆われている。
玄武温泉付近まで車を走らせると、ようやく霧が晴れて青空が見えてきた。
平ヶ倉沼の登山口の駐車場はほぼ満車。
大勢の登山者が登っているらしい。そんなに人気のコースなのか???
混雑するのを心配していたが、滝ノ上温泉の大駐車場は閑散としたもの。
ここは三ツ石山の登山口でもあるので、登山者は分散されると予想した。
葛根田川の対岸は地熱地帯となっていて、噴気孔から盛んに噴煙が上がっている。

深いブナの森を登る。
地熱発電所の重い稼働音が静かな山峡に響いている。


緩急を繰り返しながらの登りが続く。それが適度なインターバルとなってあまり疲れない。
右手に白い噴煙が観られる場所もあった。
送電線の巡視路が交差する地点では、森が伐採されていて紅葉に彩られた三ツ石山が望めた。
この日は沢山の登山者が登っていることであろう。

モリアオガエルの繁殖地になっている白沼に着く。
北泉ヶ岳の桑沼を小さくしたような感じの沼で、周りが深い原生林に囲まれ、ひっそりと静まりかえっている。
桑沼は誰かがニジマスを放流したためにモリアオガエルは駆逐されてしまった。
山深い白沼はまだ豊かな自然が保たれている。

白沼の北岸から少し北側に尾根を回り込むとマムシ坂が始まる。
約20分程度の短い登りだが、一部はガレていてかなりな急斜面を登って行く。
冬場は雪崩地を思われる地形のために高木が生えず、この場所は裏岩手連峰の最高の展望地となっていた。
一番目立つのは均整のとれた雄大な山容の岩手山である。

傾斜が失われて木道が出てくるとオオカメノキが赤く色づいていた。

そして直ぐに1428mの平頂を望む小さな湿原が現れた。
規模は小さいがマムシ坂の急登を頑張った後なので一休みする。

湿原一帯の木道は朝露に濡れて非常に滑り易い。すり足で慎重に歩いた。
やがて涸れた小沢の中を登って行く。
周囲はオオシラビソとダケカンバの林に変わる。
やがて森林限界を超えたところに標識があり、すぐ上手に水場があった。
ここで休憩してマスさんお手製の和菓子『朝顔』をいただく。
梅の酸味が利いてとても食べやすい和菓子だった。

水場から先は展望が一気に開ける。
遅くまで雪田が残る草原は、夏場には一面にお花畑になるらしい。

振り返ると裏岩手連峰のこんな雄大な景色が堪能できる。

道の脇に生えるキンコウカの黄金色のオレンジ色の黄葉が美しい。

登山道は1428mの平頂には登らず、山の南側を巻いて進む。
ケルンが積まれた小さなピークは展望が素晴らしく、例年より一週間早く始まった灌木の紅葉の奥に森吉山が確認できた。

この頃から上空に雲がかかって、折角の紅葉も色が鈍くなる。
しかし時折陽の光が差し込むと紅葉の色合いが冴えてくる。

ほぼ平なハイマツと湿原の道を歩いていくと、ぐんぐん烏帽子岳が近づいてくる。

山頂直下の登り。傾斜湿原の黄葉が青空に映える。

エゾリンドウの花の入りは青空を溶かし込んでいる様だ。

歩いてきた1428m峰を振り返る。

縦走路に合流するとそこから山頂までは急坂を僅かの距離。
南側の笊森山が大きい。

烏帽子岳(乳頭山)山頂は秋田県側から登ってきた登山者で賑わっていた。

レース鳩と思われる二羽が山頂で羽を休めている。
群れからはぐれてしまったのであろうか?

北側を望むと紅葉の斜面の奥に田代平の湿原、さらに後方に森吉山が望めた。

山頂の南側は露岩に亀裂が入っていてロープより先の岩場には近寄れない。
この日は写真の秋田駒ヶ岳から縦走してきた登山者も多いようである。

日本一水深が深い田沢湖の湖面が鏡のように見えていた。

山頂は冷たい風が吹き抜けていたので、山頂から縦走路を下った地点で昼食をとる事に決めた。
下りの途中から笊森山の鞍部付近を見下ろす。

休憩したところは烏帽子岳と秋田駒ヶ岳が並んで見える景勝地であった。

笊森山の登りから烏帽子岳を振り返る。
この位置から見た山容は正に乳頭山の名前の通りである。

登りの途中で三叉路に出会い、そこを左折して千沼ヶ原に向かう。
途中で遅くまで残雪が残る小沢を横切るが、そこはちょっとしたお花畑になっていた。
南白沢を遡行してくると、この場所が源頭となるようである。

付近にはミヤマダイモンジソウが沢山咲いていた。

オオシラビソの林を歩いて行くと木道に変わり、突然広い高層湿原が現れる。
ここが千沼ヶ原である。

名前の通り大小の池塘が散在し、ミツガシワが多く生えていた。
背景の八幡平と相まって北方的な景観に溢れている。

昔は平頂の三角山を越えて雫石スキー場のある高倉山まで道があったらしい。
大きな池塘を三角山の織りなす風景はミニ尾瀬といった感じがする。

太陽の光が当たると草紅葉は黄金色に輝く。

下部の大きな湿原から眺めた笊森山。

木道が終わると平ヶ倉沼に至る尾根筋の道に入る。
全体的に右手の斜面が谷底まで切れ落ちた場所が多く、しかもステップが一部で外斜していて、歩きは慎重さが要求される。
メグリ沢の対岸に、先ほどの優しい山容とは異なった険しい三角山の姿が見えている。

ヤセ尾根の下りの途中、前方に大人数のパーティが下っている姿が確認でした。

ブナの原生林の中に開いた瞳のような平ヶ倉沼。
ほとんど真下に見えるので、あそこまで下るのはかなりな急坂だと分かる。

1パーティ、約15名を追い越すと、別な1パーティの後に追いついてしまって渋滞に巻き込まれる。
足場が悪く狭い道なのでパスする事はできない。
水場の小沢を渡ってところでようやく追い抜けた。
平ヶ倉沼を右下に見下ろす場所で登山道が分岐する。
左手は熱交換所への道で、右手は朝方駐車場がほぼ満車状態だった平ヶ倉沼登山口へ。
熱交換所までの方が車道歩きが約2km少なくなるので、そちらの道へと左折する。
しかし下りベースで楽勝と思っていたら、小さな尾根上までかなり登らねばならないので意外にきつい。
サワグルミの林の左上に平ヶ倉山の険しい岩壁が望まれた。
最後は杉の植林地を下り、熱交換所の敷地のフェンスが見えてくると、ようやく登山口に降り立った。
ここには駐車スペースがほとんどない。

登山口から車道を約30分歩いて滝ノ上温泉に戻る。
その途中に鳥越ノ滝があった。
以前は熱水の流入量が激しく、滝壺全体が野湯になっていたそうだが、今は滝壺の温度は低くなって野湯ではなくなってしまったらしい。

その後、網張温泉で山行の汗を流し、毎度恒例の鬚で盛岡冷麺を食べて帰仙した。
歩行距離16km、累積標高差1100mの意外にハードな周回ルートであったが、変化に富んでいてとても楽しめた。
動画です。

コメント
コメント一覧 (6)
見どころイッパイで楽しいコースでしたね。
初夏ならたくさんの花なのでしょう。
裏岩手(と言っていいのかな?)は魅力たっぷりで、遠いけど癖になりそう。
写真映えのする山でしたね。
千沼ヶ原の草紅葉が綺麗で、通過した時に曇ってしまったのが残念でした。
秋田駒ヶ岳から縦走すると花花花の稜線漫歩が楽しめますよ。
岩手山から八幡平、そして秋田駒ヶ岳の山域は何度登っても飽きないですね。
やはり、滝ノ上温泉の大駐車は閑散としておりました。素晴らしいコースなのにもったいないです。周回コースで、避難小屋が利用できるなんて、東北では貴重だと思います。
ところで、滝ノ上温泉滝峡荘は、まだ、残っていますか?リニューアルがまだなら、絶対行くべきです。
この周回は一泊でやられたのでしょうかね。
ある人が一日で周回したのを知っています。
三ツ石山は今は奥産道から簡単に登ってくる人が多いようで、烏帽子岳は秋田側からの入山がメインのようですね。
滝ノ上温泉滝峡荘って三ツ石山の登山口にある旅館ですよね。
まだ営業していたと思いますよ。
鳥帽子岳手前の大雪渓は、早朝で硬かったので、安全のためチェーンアイゼン装着で上りました。今回の目的は千沼ケ原でしたので、想像通りの池塘で感動しました。ミニ尾瀬のようでした。帰路は平ケ倉からの下りが難儀しました。熱交換所への上り返しは学習していたので、それ程気になりませんでした。熱交換所にチャリをデポしましたが、意外に上り勾配て途中からは、押し歩きでしたね。その後、滝ノ上温泉に浸かり、帰りは髭で冷麺と思いましたが昼休憩でした。心に残る、いいルートでした、ご紹介ありがとうございました。
ほとんど人に会わない静寂の周回コースですよね。
千沼ヶ原は東北でも秀逸な高層湿原だと思います。
池塘がほんとうに多いですね。
髭は休みの時間帯ができてしまいましたか。
また行って冷麺を食べたくなりました。