5年前の10月初旬、吾妻の黄葉が盛りの頃、マスさんと初めて一緒に登ったのが東大巓であった。
今回は二人の出会いの山に再び行って見よう、と言うことで、紅葉がちょうど見ごろを迎えた吾妻の寂峰を訪れた。
山頂では思いもかけない方と再会し、記念の山が更に思い出深い山になった。

【 9/28 東大巓(1928m) 山形・吾妻連峰 】
滑川温泉手前駐車場~滑川大滝展望台~滑川鉱山跡~潜滝~金明水~明月荘~東大巓~大倉新道分岐~昭元山~烏帽子山~ニセ烏帽子~兵子~大日岳~姥湯温泉登山口

東大巓は何時行ってもほとんど人に会わない静かな山旅が楽しめる山である。
2000m級の山々が茫漠と連なる吾妻連峰は、東部の一切経山と西部の西吾妻山が、各々山岳道路と登山用リフトで簡単に登れるために観光地的に多くの登山者が訪れる人気スポットになっている。
しかし連峰のほぼ中央部に位置する東大巓はアプローチの悪さから見捨てられたような存在である。
でも点在する高層湿原とオオシラビソやコメツガの黒木が織りなす景観には何度登っても魅了されてしまう。

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朝6時半、冷たい空気の中、滑川温泉から登り始める。
温泉の駐車場では大滝川を遡行する沢登りのパーティが登山準備をしていた。
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滑川大滝の展望台まで軽くワンピッチの登り。
よく旅番組で紹介される滑川大滝であるが、出演するタレントがこの登りでかなり息絶え絶えで登っている事が思い出された。

展望台から大滝川方面へ少し下ると滑川大滝がさらによく見える。
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秋晴れの清々しい天気。
しかし少しヘイズが出ているようで、蔵王連峰もかなり霞んでいた。
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大滝川左岸に連なる山々は岩壁も露わで、穏やかな吾妻連峰のイメージとは異なった風景が広がる。
5年前に登ったときは黄葉が見事であったが、今回は稜線付近が見ごろで、まだ山腹まで紅葉前線は降りていない。
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トロッコの軌道跡が残る滑川鉱山跡周辺は、木々が伸び、笹薮が繁茂して全く見通しが利かなくなっていた。
以前は素掘りの鉱床跡や吊り橋の残骸が見えていたのだが・・・

登山道わきにウメバチソウが沢山咲いていたのは以前と変わらない風景であった。
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潜滝は登山道からほとんど見えない。
ザックを下ろしてカメラだけ持って滑り易い沢筋を少し登る。
潜滝は正面から見ると滝身が一部見えない変わった形状の滝であるが、今回は滝の全景が見える位置に行って見た。
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滝の上部に回り込んで登るとちょっとした岩峰がある。
前回来た時はこの周辺がタケカンバの黄葉が見事であったが、今回は灌木の紅葉が始まったばかりである。
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岩峰の上から東大巓を望む。
まだかなり距離があり、本当に奥深い山だと実感できる。
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うんざりする階段登りが続く。
黒木の森に入って視界は利かない。
そんな中で可愛いコゲラの姿を見つけて心が和んだ。
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樹高が低くなってくる陽が差し込み紅葉が映えてくる。
尖った山容の高倉山が大分低くなった。
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サラサドウダンの紅葉が青空の下に輝く。
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金明水で休憩。
上部の明月荘の水場でもあるが、小屋から結構下らなければならない位置にある。
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木道が出てくると弥兵衛平にある明月荘(避難小屋)は近い。
当初は同じ道をピストンする予定であったので、小屋の下部にある広大な弥兵衛平湿原の散策は後回しに考えていた。
ここまで来ると正面に見える東大巓までは30分程度の距離にある。
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途中の傾斜湿原から弥兵衛平を見下ろす。
ミニ苗場山といった雰囲気のところだ。
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主稜線縦走路から右に少し登ると展望がほとんどない東大巓の山頂に着く。
ここは居心地が悪いので、東側に少し下った展望の良い木道のところで昼食をとった。
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東には吾妻連峰東部のポコポコした山の連なりが望める。
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東吾妻山が一際大きな山体で見えている。
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南には継森から中吾妻山に続く道のない稜線が連なっている。
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食事をとっていると一人の男性からSONEさんですね、と声をかけられた。
「今回で二度会った事がある。」と言われたのだが、何処でお会いしたのか記憶にない。
「摩耶山のソリクラコースでスライドしました。」と聞き、あの時の男性(たーぼさん)と思い出した。

たーぼさんは姥湯温泉から薬師森に登り、明月荘から東大巓に至るルートを採っていた。
その後は吾妻連峰の主稜線を縦走し、姥湯温泉に降りる予定であるらしい。

マスさんと二人、同じ道をピストンする予定であったが、姥湯から滑川温泉まで車で送っていただけると言っていただき、我々もその縦走コースを歩くことに予定を変更した。
但し、一番懸念しているのは、この縦走路が刈払いの不備から藪漕ぎを強いられる点である。
かなり深い笹薮に苦戦した記録を数多く見ていた。
以前浄土平から東大巓に至り、大倉新道を下って谷地平から姥ヶ原に登り返す周回をしたことがあったが、この時は藪は問題なく、泥田状の登山道の歩きに嫌になったことがあった。
この点も不安材料で、大倉新道分岐から昭元山に登る過程を見て、引き返すか否かを判断する事にして縦走路に突っ込んでいった。

東大巓から大倉新道分岐までは笹刈がされていないので、木道歩きに苦労する。
しかし分岐から先はこの夏に刈払いが実施されていて、ほんの少し藪がかかっている場所があったが、ほとんど問題なく普通のピッチで歩けた。
懸念した泥田状態は、泥濘の箇所に点々と置石が施されていて、これも問題なくどんどん歩けた。

昭元山との鞍部付近から東大巓を振り返る。
これなら明るいうちに充分歩き通せると見通しが立ったので気楽に写真を撮っていられる。
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昭元山の山頂から烏帽子山を望む。
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かなり下って烏帽子山との鞍部付近から昭元山を振り返る
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烏帽子山の西斜面はドウダンやミネカエデの紅葉が随所に見られた。
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烏帽子山へは岩がゴロゴロした急斜面を登る。
周りは灌木地帯なので展望が一気に開ける。
振り返ると昭元山と東大巓が一望できた。
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烏帽子山の山頂から東大巓を撮影する。
昭元山の鞍部北側に鏡沼が見えていた。
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南には中吾妻山と谷地平が見える。
吾妻連峰の最深部にいる感じが強かった。
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烏帽子山の東端から次に目指すニセ烏帽子と兵子が確認できた。
写真では家形山と一切経山に埋もれて分かりにくいが・・・
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ニセ烏帽子の山頂にて。
オオシラビソとコメツガの深い森に囲まれたピークであるが、山頂標識がある場所から東吾妻山が望めた。
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ニセ烏帽子から少しの距離で兵子への分岐に着く。
兵子のピークは主稜線から少しだけ北側に離れている。

刈払ったばかりの道を登ると、兵子の岩場が立ちふさがるが、見た目より簡単に登れる。
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兵子の岩峰より越えてきたニセ烏帽子を望む。
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ここまで来ると家形山は指呼の距離だ。
時間がないので家形山から五色沼を見る余裕はなかった。
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北側の紅葉が見事な一切経山
デジカメでズームしてみると沢山の登山者が登っている事が確認できた。
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展望の良い兵子の山頂でマスさんお手製の羊羹:あんみつ姫をいただく。
ここでたーぼさんから缶コーヒーの差し入れをいただいた。
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兵子で主稜線縦走の旅も終わり、兵子新道を姥湯温泉口まで一気に下る。
かなりな急坂の連続なので気が抜けない。

眼下に高倉山の姿が見えていた。
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大日岳の山頂から兵子を見上げる。
こちら側からは岩峰の姿をしていない。
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大日岳から更に急降する。
刈払いが完璧すぎて、道の両側に生える低木を切ってしまったため、急な滑り易い下りで押さえるものがなく苦労した。
姥湯温泉まで距離は短いが、慎重に下るところが多く、思ったより時間がかかる。

午後4時。姥湯温泉まで500m手前の比較的広い登山口駐車場に着いた。
長い鉄梯子を下って、長い一日が終わった。
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この後、たーぼさんに滑川温泉まで車で送っていただく。
歩くと約1時間かかる距離なので非常に助かりました。
この場をお借りして御礼申し上げます。

マスさんとの出会いから5年目の登山は、とても充実したものであった。
来年は浄土平を起点に谷地平を含めて周回したいと二人で話し合った。

GPS軌跡です。(クリックで拡大。)

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動画です。