10月5日は本来は村山葉山に登る予定であった。
しかし台風18号の進行が想像以上に早く、南東北の天気は午後から雨の予報に変わってきた。
仕方なく登る山を決定しないまま東北道を北上し、天気と相談しながら山をチョイスすることにした。

【 10/5 太平山(1170m) 秋田・太平山地 】
旭又口~宝蔵岳コース分岐~御滝神社~御手洗の池~稜線~太平山:奥岳~弟子還岳~宝蔵岳~軽井沢尾根分岐~宝蔵岳コース分岐~旭又

この日は早朝から高曇りで道中は船形山、栗駒山が見えていた。
しかしほとんど日差しがないほどの雲の密度だったので、行けるところまで北上する事に決める。

今回ご一緒したのはmorinoさん、maronnさん、そしてマスさんの三人。
いろいろな山の候補を絞り込んできて、牛形山、女神山、真昼岳が最終候補に残った。
最終的に峰越林道から真昼岳に登ることに一度決まった。
しかし秋田道に入り錦秋湖周辺を走行すると厚い霧に覆われていて、それが大曲IC付近まで続いた。
この霧は午後から上昇気流となることが考えられるため、どうも奥羽脊梁山脈には昼過ぎから展望がなくなる恐れがある。

山内PAでトイレ休憩をしていて、距離が100km未満なら太平山まで一気に北上したほうが良いと自分では思っていた。
それを皆に告げると一同了承していただき、結果的に太平山の旭又口まで車を飛ばすことにする。
実はこの山はmaronnさんが二年越しで行きたいと言っていた山なのである。
新版 東北百名山の写真を見て魅せられてしまったらしい。

個人的に太平山は今回で3回目の登山。馬場目岳にも1回登っているので旭又に行くのは4回目となる。
以前は単独行なので高速道を通らず、往復下道を走行して登ったものだった。

朝8時半に旭又の大駐車場に到着。
ほぼ満車に近い状況で、かなりの人数が登っていると思われた。
駐車している車のナンバーを見ると、ほとんどが地元の秋田ナンバー。
秋田市民の憩いの山というのが良く分かる。
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旭川を渡る手前にイラスト看板があり、コースの概要が分かる。
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木の橋を渡ると登山口の標識が立つ。
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最初は広い森林軌道跡を辿る。
弟子還沢を丈夫な橋で二度渡る。
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実は登りは矢源沢入口の宝蔵岳コースに入る予定であったが、話に夢中になっていて道標を見落としてしまった。
分岐に気が付かず御手洗の池方面に直進してしまう。

御滝神社から本格的な登りが始まる。
周りに滝が見当たらないのに何で御滝なんだろうか?
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太平山は天然杉とブナの原生林を楽しむ山である。
コース上の天然杉(秋田杉)の大木は見事の一語。
この地域の極相林は天然杉とブナの混合林というのが理解できる。
天然杉のは植林された杉と違い、丸い樹冠が特徴で、植林の密度が大きい造林地の杉と比べて花粉をあまり出さないと言う。
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林が開けた場所で笹森?が見えた。
全山ブナに覆われた山容である。
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この頃から大きな荷物を背負った登山者が何人も降りてくる。
話を聞くと、この日が山頂小屋の小屋終いの日で、神社の関係者、小屋関係者と宿泊者がバラバラに下ってきていた。

数人の登山者が休憩している御手洗の池に到着。
ここの池は湧き水で、手前に御手洗神社が祀られている。
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ここから先もブナの深い森が続く。
キノコを探しながら登っていると生え始めのナラタケを見つけた。
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ブナの森の登りは上部でさらに傾斜が増す。
稜線直下はジグザグに登るのであまり疲れない。
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実はこの日は体調不良の中の登山であった。
どうも風邪を引いたようで、前夜には37.3度の微熱があり、それ以上に酷いのが腹の痛みであった。
臍付近を手で押すとズキズキ痛む。素人判断でも腸炎を起こしているのが分かった。
下痢や吐き気はないので食中毒ではないであろう。
今回の山の選定では自分の戦闘能力が通常の4割は落ちている感じなので、標高差1000mが限界と判断していたのである。

稜線の少し手前から北側に聳える馬場目岳を見る。
この山も以前赤倉岳まで周回したが、ブナの森の逍遥と言った感じの山であった。
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稜線に飛び出すと一気に展望が開ける。
北隣にある旭岳の灌木は真っ赤だった。
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笹森の山頂の上に尖がった山容の津軽富士:岩木山が遠望できた。
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旭岳の後方には森吉山のたおやかな山容が見えている。
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太平山からアップダウンを繰り返しながら東に伸びる稜線。
左の平頂の山が太平山地の最高峰:白子森
右の緩やかな双耳峰が大仏岳である。
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大仏岳の後方には南部富士:岩手山が望めた。
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西側には男鹿半島と八郎潟が霞んで見えている。
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銀色の鳥居を潜ると神社・営業小屋・トイレ棟が建つ太平山(奥岳)の山頂は近い。
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山頂には太平山三吉神社が祀られている。
以前火災で焼失したらしいが、見事に再建された。
山を閉めた日なので小屋も神社もトイレも全て冬籠りの施錠をされていた。
(小屋については一か所だけ扉が施錠されていないので休憩程度は使えるようである。)
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一等三角点が設置された太平山山頂で記念写真。
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この頃から空はうろこ雲に覆われて日差しが無くなってきたが、山頂には多くの登山者が休んでいた。
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南の空遥かに出羽富士:鳥海山の淡麗な姿が望める。
太平山の山頂でも肌寒く感じたので標高の高い鳥海山は寒かったであろう。
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一通り360度に広がる景色を堪能してから軽く食事をとる。
小屋の後に回り込んで東側の雄大な風景を眺めながら食べるおにぎりは美味しい。

眼下には登ってきたコースと錦秋の旭岳が望める。
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岩手山と秋田駒ヶ岳が並んで見えていた。
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身体が冷える前に腰を上げて下山にかかる。
下りは宝蔵岳コースを周回する。

山頂から弟子還岳~剣岳~中岳~前岳と西へ続く稜線が一望できる。
目線の果てには日本海の海岸線が広がっている。
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少し下って奥岳南西の岩壁を見る。
標高の割に険しい一面を見せてくれる。
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弟子還岳付近は黄葉が綺麗だった。
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太平山(奥岳)を振り返る。
篭滝沢源頭の笹原と紅葉のコントラストが美しい。
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急峻な沢筋を見下ろす。
まだブナの黄葉には早いようだ。
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弟子還の名前の由来となった鎖場を降りる。
これは二番目の鎖場で、鎖場は全部で三か所ある。
一部道の脇が奈落の底まで切れ落ちているところがあるが、概ねスタンスとホールドが豊富で怖さはない。
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下りきって鞍部から少し登り返した場所で弟子還の岩場を振り返る。
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宝蔵岳付近より弟子還岳と奥岳を見る。
ここで稜線の景色も見納め。
後は樹林帯の長い下りが始まる。
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主稜線の三叉路を右折すると軽井沢尾根に乗る。
ブナの原生林が中心だが、途中にクロベが卓越した林がある。

しばらく急坂を下っていくと再び分岐になる。ここも右折。
直進するのは軽井沢コースであるが、この道には黄色い進入禁止のテープが張られていた。
しばらく草刈りもされていない様子で藪化が進んでいる。
過去2回は軽井沢コースを登った。
天然杉の巨木が林立する素晴らしい登山道であったが、廃道にするには勿体ないことである。

分岐した宝蔵岳コースは初めて下るが、階段が多く登りには苦労しそうだと感じた。
途中の平坦なブナの森で休憩する。
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更に下ると天然杉の林立する森を下るようになる。
基本的にブナとの混成林なので林床は明るい。
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最後はかなりな急坂を下って往路のコースと合流した。
腹の痛さは幾分収まってきたが、下りの歩きの方が腹に衝撃が伝わって苦しかった。
しかし体力的には充分余力を残して下山できたし、登ったメンバーの皆さんが喜んでいたのが何よりだった。
(この翌日かかりつけ医のところに行って腸炎の薬を処方してもらったら、翌日の7日はほとんど完治した。)

標高1170mと言うと宮城の泉ヶ岳とほとんど同じ標高である。
しかし自然度は太平山の方が圧倒的に優れている。
緯度が高く、しかも積雪量が多い事が反映されているのであろう。
太平山が秋田の岳人に愛されている理由が良く分かった。

GPS軌跡です。(クリックで拡大)

taiheizan

動画です。