西上州の登山二日目は立岩から荒船山への周回登山と決めていた。
同行するNYAAさんが過去に歩いていて、西上州の山の好さを凝縮したようなコースとの評価であった。
丹生湖畔の宿で快適な一夜を過ごし、早立ちなので朝食はおにぎりにしてもらい、朝の6時に宿を出た。

【 10/26 立岩(1265m)から荒船山(1423m) 群馬・西上州 】
線ヶ滝登山口~岩棚の鎖場~稜線鞍部~西立岩~ヤセ尾根~威怒牟幾不動分岐~毛無岩分岐~経塚山~星尾峠分岐~艫岩~星尾峠分岐~星尾峠~田口峠分岐~イモリの滝~威怒牟幾不動~立岩分岐~線ヶ滝登山口

昨日登った裏妙義の稜線から航空母艦の甲板を思わせる山容の荒船山が印象的であった。
一般的には北側の長野県境に位置する内山峠からの往復ルートが登られているが、混雑するであろうそのルートに興味はない。
今回の立岩からの周回ルートだと、落差200mの艫岩を下から見上げる楽しみはないが、艫岩からの大展望は堪能できるし、静かな山旅が楽しめる点が自分の好みに合っている。
DSC02982
 

 道の駅下仁田でNYAAさんの山仲間:麗子さんと合流し、立岩の登山口を目指す。
昨日のメンバーからmasaokanoさんが抜け、麗子さんが入ったのでパーティの人数は変わらない。

南牧川の上流を目指す道は、養蚕が盛んだった面影を色濃く残していて、昭和の時代にタイムスリップしたような感じがする。木造の古い建物が現存しているのは雪深い東北では考えられない。
大上集落に入った頃から車窓の右手に二つの岩峰が出現する。これが西上州のドロミテと呼ばれる立岩であるが、登山口の駐車スペースの確保を優先していたため、途中で車を止めてこの風景を写真に納められなかったのは残念であった。

線ヶ滝の先にある駐車場には約10台程度は駐車可能。
既に2台の関東ナンバーの車が駐車していた。

登山準備を終えて立岩目指して出発する。
二度丸太の橋を渡り、沢の左岸を少し登ると立岩への分岐がある。
これを右折して手入れの行き届いた杉林の登りがしばらく続く。

やがて下草のない雑木林の登りとなった。
2014102601

少し右手に急登していくと、立岩の岩場が前方に立ちふさがってくる。
東立岩と西立岩に挟まれた狭い谷の登りはガレて浮石が多いので落石に注意が必要だ。

道は鋭角に右に折れるが、斜め右上に岩棚が続いていて、鎖を掴んでこの岩棚を登る。
鎖が微妙に下の方に設置されているし、足元は絶壁なので慎重に登った。
2014102602

そこから少しの斜めトラバース気味の登りで東立岩と西立岩の鞍部に出る。
東立岩方面に踏み跡があるが、正規の登山道ではないので今回は立ち入らない。

短い岩場のナイフリッジを通過して左手の稜線を目指すと、西立岩の大岩壁が見られる地点にでる。
蓼科山が背後に見えている。
2014102603

上を見ると青空の下に白い岩壁が天を突いて聳えていた。
2014102604

少し下って稜線から離れて窪状の登りとなるが、この地点の紅葉は素晴らしかった。
2014102605

短い鎖場を登ると手すりが設置されたヤセ尾根に出る。
ここからは両神山のゴジラの背中の様な山容が望めた。
帰宅後のカシバードで調べてみると、奥秩父の甲武信ヶ岳もここでアップしていない別な写真に写っていた。 
2014102606

南西には八ヶ岳の全ての頂が連なって見えている。
北アルプスに匹敵する標高を持つのに、ここから見るとそんなに高く感じないのが不思議だ。 
2014102607

山頂直前に祀られている木彫りの地蔵尊は知らないで通過したメンバーもいたようだ。
2014102608

そして西立岩の山頂に到着。
北側に連なる紅葉の峰々に歓声が上がる。
一番尖がった山は荒船山の最高峰:経塚山である。
2014102609

その左手には浅間山が並んで見えていた。
2014102610

山頂から少し東側に下ると、毛無岩へ連なる稜線が一望できる。
2014102611

南東側には赤久縄山と稲含山が眺められた。
2014102612

次に聳える岩峰は一部の岳人にはジャンダルムと呼ばれているようだ。
その岩峰に登るのか、と期待していたら、峰の左手を簡単に巻いて通り過ぎてしまった。

その先に高さ7mぐらいの鎖場があるが、見た目よりスタンス&ホールドが多く、鎖に頼らなくても登れる岩場だった。
2014102613

鎖場を登りきると東側が一気に切れ落ちたヤセ尾根を通過する。
しかし鎖製の手すりが設置されていて全然怖くない。
ここに手すりが無かった時代は難所であったろう。

ヤセ尾根が終わって振り返るとジャンダルム(左)と西立岩の岩峰が並んで見えていた。
2014102614

道標とベンチがあるところから、ごく普通の低山歩きに変わる。
張りつめた緊張の糸が緩んだところで休憩。
マスさんお手製の『プラムケーキ』をいただく。
これはクルミ、ラム酒漬けのレーズンとクランベリーがぎっしりはいったパウンドケーキで、ラム酒の香りと胡桃の風味が抜群で、コーヒーと合う大人の味だった。
2014102615

岩場やヤセ尾根が終わって紅葉をゆっくり観る余裕もでてくる。
稜線にはブナの木が多く、黄葉がとても綺麗だった。
2014102616

やがて威怒牟幾不動分岐に着く。
ここから少しアップダウンの多い行程となる。

毛無岩の分岐の手前に、横枝を張り出した太いブナも現れてびっくりする。
2014102617

右折する毛無岩方面への道は一部登山道の崩落個所があり、一般登山者は縦走が難しくなっているらしい。
左折したその先の稜線で急に木段が出てくる。
カラマツ林の所はクマザサの藪っぽい道になるが、クマザサが枯れているので、以前のような藪漕ぎ状態ではなくなっているらしい。

少し東側の展望が開けた場所があり、そこから表妙義の峰々が一望できた。
2014102618

モミジの紅葉が美しい森を抜けると、左手に星尾峠へ向かう巻き道が分岐する。
経塚山へは直進して急坂を登っていく。
道の左側は柱状節理の岩が目だっている。
2014102619

経塚山の山頂で記念写真。
この日一番標高が高いピークだが、木立に囲まれてほとんど展望はない。
2014102620

でも梢の間から目を凝らすと北アルプスの剣岳が見えていた。
左には立山、右には爺ヶ岳が同定できる。
2014102621

経塚山まで2組5名の登山者にしか会わない静寂の山を堪能してきたが、経塚山から艫岩の往復は沢山の登山者とすれ違って人気の山と言う感を強く持った。
しかし妙義山から眺めた長さ2km強の航空母艦の甲板の上を歩いていると楽しくなる。
と言っても穏やかな樹林の道なのだが・・・
2014102622

途中で林が開けて青空がのぞく場面もあった。
2014102623
 
相沢登山口の道を左に分けて直進するとトイレのある東屋が見えてきた。
現在トイレは使用禁止となっている。
2014102624

その僅か先に艫岩展望台があった。
高差200mの大岩壁の上は高度感抜群で、しかも素晴らしい展望が開けていた。
2014102625

この大岩壁は『クレヨンしんちゃん』の作者:臼井 儀人さんが転落死したことで有名になった。
がけ下の写真を撮ることに夢中になるあまり、誤って足を滑らせて転落したらしいがご冥福をお祈りしたい。

この日は夕方から雨になる天気予報であったが、お昼前のこの時間でも遠望は利いていた。
但し穂高岳や槍ヶ岳など北アルプス南部の山々は雲に隠れている。

でも後立山の鹿島槍ヶ岳や五竜岳はばっちり写真に収めることができた。
2014102626

その右手には白馬三山も同定できる。
2014102627

視線を右に移すと、この界隈の山の領主とも言うべき浅間山が悠然と聳えている。
下部を走る車道は群馬の下仁田町とと長野の佐久市を結ぶ国道254号線である。
2014102628

浅間山の更に右手には草津白根山と志賀高原の岩菅山が見えている。
2014102629

そして裏妙義の岩峰の奥に榛名山、その背後の至仏山(左)と武尊山が遠望できた。
2014102630

艫岩展望台での記念写真。
ここで昼食を摂っていると、大人数のパーティがどんどんやってきて、展望台は都会の喧騒を思わせる状態になってしまった。
あまり長居をできる感じではないので、早々と退散する。
2014102631

再び平な頂稜を経塚山の肩まで戻り、星尾峠方面に右折する。
急に別な山を歩いているように静かになって驚く。
また紅葉を愛でながらの歩きが続く。
2014102632

星尾峠は群馬と長野の県境の峠である。
峠を跨いで立つと両県を跨いだ格好となる。
厳密には荒船山の頂稜も県境であるが、余りに平坦で広すぎるので、何処が県境か分からない。

峠からは木々を透かして経塚山が見えていた。
2014102633

ここから田口峠の分岐までは沢筋を下っていく。
イロハモミジの紅葉が谷間を明るく感じさせた。
2014102634

しかし数年前の台風の影響で、この沢筋の道は酷く荒れていて歩き難かった。
ほとんど道形が無くなった箇所も多く、歩く場合はベテランの同行が必要であろう。

田口峠分岐を左折して威怒牟幾不動を目指す。
途中のカラマツ林は見事に黄葉していた。
2014102635

このまま下り勾配の道が続くと思っていたら、イモリの滝を過ぎた辺りからかなりな登りが続く。
前の写真の岩峰の基部に達したところで休憩を取る。

ここでマスさんお手製のあんこを黄味あんと抹茶羊羹で包んだ和菓子『竹』をご馳走になる。
抹茶の香りがして、熱いお茶を飲みたくなってしまった。
山で食べるあんこは力が出る。
2014102636

岩峰を過ぎたところで小さな沢を渡るが、ここから眺めた紅葉の岩峰は良かった。
2014102637

東屋を過ぎたところから杉林に入る。
どんどん下って行くと威怒牟幾不動の分岐に着いた。
ザックをデポして威怒牟幾不動滝を見に行く。
2014102638

この滝は見る価値大いにあり。
二口山塊、大行沢道の雨滝をさらに大きくしたような滝で、オーバーハングした岩壁の上から雨状に流れ落ちるのは見事だった。

滝の裏側には1750年創建の威怒牟幾不動があり、大正の初期までは参拝者も多かったらしい。
今は乾いた土の上にアリジゴクのロート状の罠が沢山あった。

そして上を見上げると威怒牟幾不動滝が降り注いでいる。
2014102639

ここから登山口まで約40分の下りが待っていた。
駐車場に戻ってから直ぐ下流にある線ヶ滝を見に行く。
落差30mの線状に落ちる滝は、あまり見たことがない形状で、山旅の終わりを更に印象深くしてくれた。
2014102640

帰路は道の駅南牧にsakaさんの車を駐車していたので、皆でそこまで行く。
そこで宮城組の我々は別なメンバーと別れ、上野村の国民宿舎やまびこ荘に温泉入浴で立ち寄る。
鉱泉らしいが、綺麗なお風呂に浸かって山旅の疲れがとれた。

その後、道の駅下仁田で神津牧場のソフトクリームを食べ、近くの産直店で格安の下仁田ネギを購入した。
上信越自動車道で渋滞に巻き込まれ、東北道で雷雨に見舞われたが、夜10時に自宅に戻り、楽しかった一泊の遠征を振り返った。

GPS軌跡です。
arafuneyama


動画です。