月曜日の午後から青葉区西部に位置する、新川界隈の里山に登ってきた。
二万五千分の一地形図『熊ヶ根』に記載されている三角点ピークの幾つかが未登の山が残っていたので、本格的な降雪がある前に軽く登ってこようと出かけた。
【 1/5 滝倉山(361m)、館山(388m)、生嶽(441m) 宮城・二口山塊 】
●滝倉山:別荘地の除雪終点~廃道~稜線~滝倉山~窪状を下り~別荘地の除雪終点
●館山:熊野神社傍の路肩~鉄のポール~伐採地~西峰~館山(往復)
●生嶽:カフェ徳陽東側の林道ゲート~配水池~林道の峠~南尾根を経て生嶽(往復)
国道48号線(関山街道)を西進してニッカウヰスキー仙台工場・宮城峡蒸溜所の西側にある新川地区を目指す。
その手前まで車を走らせると、仙台ハイランド入口の左手に滝倉山が見えてきたので、久しぶりに登ってみたくなり、仙台ハイランド方面に左折した。
この山に登ったのは約20年ほど前と記憶していて、当時は別荘地の奥まで舗装道路が伸びており、そこから良く踏まれた山道を登ると山頂まで15分程度で登れた。
その頃は山頂の西側が広範囲に伐採されていて、眼下を走る国道48号線や、山裾を洗う広瀬川、そして険しい岩山の鎌倉山や、遠く西には面白山まで一望できたものである。
写真は新川地区から眺めた滝倉山(右)とヒグリ山(左)。
取り付きの別荘地側からは山に近づき過ぎて、山容が全然分からない。

積雪期は特に登山道が整備されていない里山の場合、車の置き場所の確保に苦労するが、今回は別荘地の民家を過ぎた地点まで除雪されていたため、住民に邪魔にならない感じで駐車できた。
スパイク長靴に履き替えて、カメラだけ持って山に登り始める。
ここで地図を家に忘れてしまった事に気が付いた。
でも自宅を出るまえにおおよその地形は記憶していたし、GPSもあるので何とか山勘で登れる自信はある。
林道は約20cmほど積雪があり、硬い雪質なので一歩ごとにズボズボ足が潜る。
以前登った山道の場所を思い出そうと努力するが、その道は完全に消失したようだ。
仕方なく藪が薄い杉林から山に突入する。
笹藪が繁茂する場所では膝までのラッセルとなり、歩みは遅い。
山頂から南西に伸びる尾根を登路に考えていたが、傾斜のきつい林道の切り通しがあり、そこは段差のある土崖なので登れない。
仕方なく急斜面を少し西にトラバースして、雑木林の窪状を登って行った。

頂稜にでると微かな踏み跡が存在する。
東のピークが山頂であるが、北西側の杉の木は伸びて展望が遮られ、三角点がある広場も低木藪が密生していた。

低木を足で踏み倒してレンズに映り込む枝を極力減らし写真を撮る。
先ず目につくのはニッカウヰスキー仙台工場の煉瓦色の建物と、その奥に鎮座する鎌倉山の姿である。

眼下を走る国道48号線の車の音が登ってくる。

西には新川岳。その左手は面白山が見えるはずだが、この日は雲に隠れていた。

北には船形連峰の後白髪山の姿が大きい。この山も山頂に雲がかかっている。

杉の木の狭間に北泉ヶ岳も顔を出していた。

手ぶらで登ってきたので、一通り写真を撮ってしまうと何もやることがない。
直ぐに下山開始。
登ってきた筋は藪が酷い場所もあったので敬遠し、急な窪状を直降して車に戻った。

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次に登ったのは新川地区、作並小学校新川分校の南側に急峻に聳える館山である。

大笠山や円子山、八ツ森へ登るときに、何時も気になっていた山で、山名の通り要害の山である。
北側は険しい岩場となっていて、何処から取り付いたらよいのか迷ってしまいそうだ。
ネット情報では熊野神社から畑地を南に入るとなっていたので、車をカーブの広い路肩に止める。
東側の民家の際を山に向かって歩いていくと、雪に覆われた畑地からの景色が良い。
西側には八ツ森の端正な三角形が見えている。

いよいよ館山が近づいてきた。
杉の植林地がある窪を目指し、そこから右手の西峰一気に登るのが登路である。


山への取り付きは金属のポールが両側に立てられた場所で、その一帯はニホンザルの足跡が入り乱れていた。

タラノメがにょきにょき生えている伐採地の上に出ると、鎌倉山が尖った山容で見えている。
その左手奥の山は北泉ヶ岳。

北側には、この山の後に登る生嶽(左)と、右奥に日登山の姿があった。

伐採地から先は斜度40度はありそうな急斜面をジグザグに登っていく。
道型が非常に細く、雪が積もっているために、慎重に足場を選んでいかないと滑落の危険性が高い斜面であった。
斜度が失われると3本の太いブナが生える場所に出る。

その直ぐ先に山神様を祀ったと思われる石祠が祀られていた。

西峰に登りついてから稜線を左折する。
離れ猿と思われる二匹の猿が驚いて逃げていった。
山頂部には明らかに人工物と思われる壕、土塁のような地形が残っていて、館山の名前の由来が分かったような気がした。
写真では波打ったような土塁の跡が分かりにくいが・・・

平な山頂には四等三角点が置かれている。
周りは樹林に囲まれ展望はないけど、自然度が高い落ち着ける山頂であった。

北側の展望が良さそうなので、切れ落ちた岩場の上の所まで行ってみる。
そこからは凄い高度感で新川盆地が見下ろせ、その奥には鎌倉山が更に尖ったような山容で見えていた。

先ほど登った滝倉山もヒグリ山の右手に同定できる。

三角点の場所まで戻り、西の空に傾いてきた太陽の光を受けながら昼食をとる。
カップ麺と太巻きだけの食事だが、気温が高かったのでゆっくりできた。
帰路、西峰との鞍部に夥しい数の熊の爪痕が残るブナの木を発見した。

伐採地手前の急斜面は道に関係なく、木に掴まりながら下った。
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最後に新川川の対岸に位置する、別荘地エバグリーンにっかわの背後の山:生嶽を目指す。
この山は国道48号線の作並駅を過ぎた辺りから左手に見える山で、特に作並温泉から仙台方面に車を走らせた場合、ほぼ正三角形の端正な山容をした山である。
以前から登りたいと思っていたが、なかなか機会がなく、これまで取り残していた山だった。

しかし国道48号線方面からは仙山線を渡って山に取り付かねばならず、そこから登るのは無理がある。
従って山の反対側の新川側から登るのが一番簡単と思われる。
別荘地の一番奥にカフェ・カラオケ徳陽の建物があり、その先にある林道のゲート前に車を止めた。
ゲート前と言っても、現在は除雪で押し出された雪が壁のようになっているだけである。
林道を少し登ると簡易水道施設を左手に見る。
そこから少し藪っぽい林道を登っていくが、アカマツと杉の植生のため雰囲気は悪い。

林道の峠まで登ると、そこに造林地の看板があった。
所在地は仙台市中山とある。
私の予想では広瀬川と新川川に挟まれたこの小さな山域が中山と呼ばれていると考えている。
三角点名の生嶽は、作並側から見た、大地に生まれたような三角形の山容を指すのではないであろうか?

林道を外れて道のない南尾根を登っていく。
尾根の右手が杉林、左手が雑木林の味気ない尾根だ。

山頂に近づくと積雪が多くなり、最後は股まで踏み抜くほどの積雪があった。
山頂部は伐採後に生えてきた低木藪で、展望は葉が落ちた季節にもかかわらず皆無である。

少し東側に下れば、僅かに国道が見下ろせそうであったが、とにかくラッセルがきついので身動き取れない。
結局、この日登った山の中では登って面白味に欠け、一番評価度が低い山であった。
往路を忠実に戻り、配水池を過ぎると、展望が開けた場所があり、八ツ森(左)、大笠山(中央の平頂)、そして円子山が並んで見えていた。

この日の仙台は気温9度まで上がったらしい。
雪山に登っているのに、行動中はかなりな汗をかいた。
冬型の気圧配置になり、宮城県西部に多量の積雪があると非常に登りにくくなる山だったので、今回は上手いタイミングで登れたと思った。
GPS軌跡です。(クリックで拡大)
動画です。
コメント
コメント一覧 (24)
滝倉山は不動橋のたもとから尾根を辿り周回、展望が良かったですね。
生嶽は同じ登りで周回、やはりヤブと展望いまいちで評価は落ちますね。
館山は未踏で、あの山容が気になっていました。
それにしてもいい展望でしたね。
ツボ足で登れる限界でしたが、上手い時期に登れました。
滝倉山はマロ7さんのルートが一番面白いでしょうね。
一部岩場があって楽しめそうです。
生嶽は山容から言って、もっと内容のある山を期待しましたが、登る価値は見いだせない山だったですね。
館山は今回一番面白く、山頂北側の展望が高度感があって良かったです。
但し、新雪が大量に降った後は雪崩の危険性が高い急登でした。
滝倉山は何となく分かっていましたが、他は初めて。
館山の歴史など知りたいものです。
冬場になると道のない山に登りたくなる性分ですので、マイナーな山に登ってみました。
館山は国道から見えないので馴染みがないでしょうが、生嶽は国道の作並手前の大きな駐車場の南東に大きく聳えていますよ。
館山の歴史は調べてみましたが全然分かりませんでした。
あんな急峻な山の上に館跡があるとは驚きでした。
高倉山は穴戸沢林道にゲートが設置され、林道を約2時間弱歩かないと登れない山になってしまいました。
登山道自体は短いので、あまり魅力がない山かもしれませんね。
年明けから泉ヶ岳に登られておりましたか。
登山者が多く、トレースがあるので比較的楽な冬山ですよね。
機会があればヒザ川の源流や、袖泉で遊ぶのも面白いです。
今年もよろしくお願いします。
SONEさんの山行はユニークですね。痒いところに手がとどく参考になる所がイイですね。
いつも48号線を走っていると登って見たいと思っている山の名前が分かりました。
滝倉山、生嶽というのですね。どうやって山名を調べるのか不思議です(笑)
益々登らねばと思いました。
鎌倉山ですが、しっかり標識とロープまで設置されて整備された登山道(裏側から)ができていて驚きました。
クライミングの下降路を登リ山頂を踏んで一周できます。気持ちは良いコースですが、赤布・ロープは余計です。
個人的には余計な事をするもんだと思っています(笑)。
地図を片手にルートを探しながらの低山歩きの楽しみのひとつが、比較的安全に自分でルートを見つけて登る
降る楽しみにあると思うので、今まで特に整備をされていないところを必要以上の整備をされてしまうのは、
どうかと思ってしました。
ふつうはあまり目をつけない山を登るSONEさんのような山行報告は、読んでいて楽しいです。
長くなってしまいましたが、済みません。今年も楽しい山行報告を楽しみにしていますので、よろしくお願い
いたします
単独の場合はあまり人が登っていないマイナーな山を指向してしまいます。
お勧めできるかと言うと、藪山も多いのでTOBUSANさんみたいな方以外はお勧めできない山も多いですが(笑)
山名を調べるのは国土地理院の基準点GISシステムで調べると、三角点の点名だけは分かりますよ。
但し、地元の呼称と異なる場合も多いので、町史などで調べることも多いです。
鎌倉山は裏側のルートが完全にメジャー化してしまいましたね。
赤布は私もいらない派です。べた貼りされていると、道を探す楽しみが失われて余計なお世話といった感情を抱いてしまいます。
現状で地形図を完全に読める登山者って少ない感じがします。
帰路が不安になるので、安全確保のために赤布を付けまくるのかもしれませんね。
でもブログ記事のアクセスを見ていると、メジャーな山ばかり閲覧数が増えて、マイナーな山は見に来る人がとても少ないんですよ。
私の忘備録として書いているようなもんですが、それを参考にしていただけて嬉しいです。
今年もよろしくお願いいたします。
現在 さいたま市に在住ですが、出身は、新川です。
タラノメ 伐採地からの写真 民家が、4、5軒写っていましたが、何と私の実家がほぼ 中央に写っていました。幼少の頃自然に親しんで過ごした事を 思い出しました。
色々な 山々に いらっしゃるようですが、くれぐれも お気をつけて下さい。
新川は主要国道から離れていて静かな地域ですよね。
山寺に抜ける古道の駒新道の起点になっている地域なので、私もたまに訪れております。
ご実家が写っていて、昔のことを思い出されてアップした甲斐がございました。
かなりマニアックな内容のブログですが、お暇がございましたらまたお立ち寄りください。
生嶽の麓にすむ住民です。この山に登ったのは2度だけですが、
山の名前が判らず、ボーっとしたまま25年ほど過ごして来てました。
ようやく、このページにたどり着き、自分の住んでいる周りの山の名前が判り
すっきり出来ました。
大変貴重なデータとして感謝です。
町内会のページで紹介させてほしいのですがご意見お願いします。
作並、新川地区の山野草の植生なども調べてみようと言うグループが出来て
少しずつの勉強会を始めたのですが、肝心の山の名前も分からず困っていた時
本当に感激しました。
有難うございました。
拙ブログ記事が山名の判明にお役に立てて良かったです。
地形図には山名の表示がないですから。
町内会のページに紹介していただいても構いません。
今後もよろしくお願いいたします。
ご快諾頂き、ありがとうございました。
http://www.iwayadou.com/map
にリンクを貼らせて頂きました。
お陰様で里山の素晴らしさが紹介できますので、仲間で喜んでいました。
この辺にお出かけの際は、是非お立ち寄りくださいますようお願いします。
問い合せのページから連絡いただくのを楽しみにしています。
御HPを拝見させていただきました。
拙ブログが少しでもお役に立てて幸いです。
そちらの山に登った時に是非お伺いしたいと思います。
色々なページを見て回りましたが、この作並地区の山を知り尽くした方は
SONEさん、が一番ではないかな?と思っている、作並のゴロスケです。
なわけで、是非一度 オフ会でお会いでないかな?、とたくらんだ次第です。
私は 冬山登山にあこがれて、山岳部に入ろうとしたら
お前のような、オッヨコチョイは間違いなく遭難する、から絶対ダメと親に言われて諦めた、暗い過去の持ち主で、酒好きですが、(最近はコーヒー焙煎にもはまっています)
いつかお会いして、お話しできる事が出来たらと思っています。
当方は、年中が日曜日のようなものなので、ご連絡頂ければ幸いです。
そう言っていただくと嬉しいです。
先月、愛猫が亡くなり新川ペットメモリーガーデンにて火葬した時にお近くまで行きました。
私は冬場に時間がとれますので、その時にお会いできればと存じます。
その時にご連絡差し上げますのでよろしくお願い申し上げます。
慰めの言葉は役に立たず、ただ時間の過ぎる事を待つしかないのは
つらい事です…
雪が降る事までに悲しみが薄らぐことをお祈りします。
ご連絡は問い合せフォームからも私につながりますのでお待ちいたします。
未だにいなくなった寂しさが癒えない状態です。
すごく賑やかな子でしたから。
時間がとれましたらお問合せフォームからご連絡いたします。
お久しぶりです
あっという間に1月も半ばになり、お目でとうございますの挨拶も?になってしまいました。
いかがお過ごしでしょうか?
今、私たちの会で作並地区の風景写真を集めていましたが、
SONEさんの写真の構図が何か違うなと、色々考えた末
山の上から撮っているからだと気がつきました。
SONEさんの写真データをお借りすることはできないでしょうか?
この地域の美しさを紹介するには最適の画像と思っています。
使用方法など、詳しいことは、お伺いして説明したいと思いますので
お会いできる事ができれば幸いです。
大変ぶしつけで、恐縮ですが ご連絡くださいますようお願い申しあげます。
家の中の家電品や設備がいろいろ壊れて、その補修で大変な状況でした。
作並の風景写真を収集されておりましたか。
私の撮影視点は登山者の視点から撮ったものですので、ちょっと違うかもしれません。
写真データはどのような目的でお使いになられるのでしょうか?
お役に立つことがあればご協力いたします。
御HPのご連絡先にメールを差し上げたいと存じます。
早池峰、鳥海、月山、蔵王のページを拝見しました。
この世界の専門家だったとは知らずに、大変失礼しました。
今、私たちは地域の宝探しというテーマで
八ツ森山の付近のもっとも美しい場所を探していました。
そのために、この辺の里山を熟知しておられるSONEさんに相談すれば、きっとわれわれの気づかない点を教えていただけるのではないかな? 思い、また写真についても
館山から見下ろした作並の写真などを、町内会の週報の表示などに使わせていただけないかな?という軽い気持ちでお願いしていた訳でした。
つきましては、改めてご相談をいたしたく、お時間をいただければ幸いです。
写真のご使用については理解できました。
私の写真がお役に立てば幸いです。
ご連絡は清瀬の会のHPに書かれている電話番号でよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
電話番号の件、承知しました。