何年ぶりだろうか、マスさんを山スキーに連れ出すのは???
私も山スキーで雪に隠れたブッシュにスキーを引っ掛けて大転倒し、左膝の半月板を損傷して以来、長い距離のスキーツアーは膝が痛くなるので余り行かなくなってしまった。
私がそんな状態なので、マスさんをスキー練習に連れ出す機会も減ってしまい、折角上達してきたスキー技術も一からやり直しである。
でも鳥海山の無立木の大斜面ならマスさんも何とか熟せるだろうと考え、久々に残雪期の鳥海山に足を向けたのである。

【 5╱4 御浜(1700m) 山形・鳥海山 】
大平口(吹浦口)~河原宿~御浜~北斜面標高1460m~外輪山の縁~御浜~河原宿~大平口

朝7時に道の駅鳥海でモンキィさんすばるぅさん二人と待ち合わせているので、朝4時少し前に家を出た。新庄市から富士山の形をした鳥海山が朝日に輝いて見えていた。

庄内の酒田市八幡町で車を停めて、水を張った水田に映る鳥海山の姿に見惚れる。
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吹浦口の登山口に当たる大平駐車場は駐車スペースが限られているので、早帰りするモンキィさんと、私の車2台で駒止ゲートに向かう。

この時期は朝8時から午後5時までしか鳥海ブルーラインは通行できず、ゲートが開くまでは車道に並んで待つことになる。
1時間前に駒止に着いたが、私の前には既に31台の車が並んでいた。
おそらく大平の駐車場にはギリギリ停められるはずである。
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駐車場に着いて登山準備をしているとMt.Raccoさんのメンバーが到着。
車はここには駐車せずに、湯ノ台までタケちゃんの奥さんが回送するそうである。

雪の壁に作られた階段を登って雪の上に出る。
真下に駐車場が見えているが、既に満車の状態で、車道に縦列駐車していた車もあった。
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登り初めは斜度が急で、ゆっくり登らないと先が続かない。
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振り返ると日本海の大海原が広がっている
この景色は鳥海山ならでは。
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一段登ると緩斜面が御浜まで続く。
あまりに広大な斜面なので、ほぼ一緒に駐車場を出た登山者は、各自思い思いのルートにばらけてしまう。
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北側に3月に登った稲倉岳が見えてきた。
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夏場、遅くまで雪渓が残る河原宿の辺りから、長坂道に出た登山者を望む。
背後に新山が見えてきた。
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久しぶりにスキー登高を行ったマスさんは遅れ気味だ
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長坂道から新山と外輪山を見上げる。
この風景は季節に関係なく日本離れしていると感じる。
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御浜で待っていたRaccoさん達と合流。
当初の予定では文珠岳まで登って、千畳ヶ原へ滑降。
鳥海湖の脇を通って長坂道まで登り返し、その後は大平の駐車場に滑り降りるつもりだった。
しかし長坂道に出ると、強い南風が吹き抜けているし、マスさんが足の踵に大きなマメを作ったようで、文珠岳までは無理そうと判断。
御浜周辺で少し滑ってから帰ることにして、ここでRaccoさんらと別れた。
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そうと決まれば、先ずは腹ごしらえ。
風の当たらない御浜の北側で腰を下ろしておにぎりを頬張る。

今回は比較的雪質が良いので、最初に御浜の北斜面を滑ろうとシールを外して、滑降の準備をしていた。その時、事件は起こった!

シールを剥がしたスキーを逆さまに置いていたすばるぅさんが、誤って自分の片方のスキー板に触ってしまい、反転したスキー1本が北斜面を流れだした。
慌ててスキーをダイビングキャッチしようとしたが、時すでに遅し。
近くで見ていたギャラリーも一様に驚く中、スキーは速度を増して北斜面をどんどん流れ、それをすばるぅさんは走って追いかける。
スキーが流れていった先は切れ落ちた奈曽渓谷。
これは見ていた一同、もう駄目だな、と感じていた。


彼のザックと残ったスキー板とストックを安全な場所にデポして、我々も滑って彼の後を追った。
一段滑り降りて、豆粒のように小さい彼の姿を望遠ズームで確認すると、何やら棒のようなものを持っているのが分かった。
どうやら奇跡的にスキーが何処かで止まって回収できたようである。
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御浜に登り返して、我々のところに滑り降りてくる、と言う彼を待って、スキーが停まった地点を確認しに滑り降りた。
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下部になると湿った深い新雪に雪質が変わり、それによって流れたスキーの推進力が落ちたようである。しかも滑っていった谷筋は、雪面がうねっていて、最終的に側壁に張り出した小さな雪庇に乗り上げて止まったと分かった。
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3月に登った稲倉岳側から見ると、止まった場所はこの地点。
そこから先に流れたら回収は絶望的だった。
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後で地図上で確認すると距離830m、標高差220mも流れていたようである。
まあ今では笑い話になっているが、場合によっては生死にかかわる事故なので、自分も含めて気をつけたいものである。

すばるぅさんが滑ってくるまで時間があったので、奈曽渓谷方面に少しツボ足で下ってみた。
鉾立方面を見ると、壮絶な岩壁の連なりに驚く。
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稲倉岳は指呼の距離にある。
この時、稲倉岳を目指している二人組の登山者がいたが、その後はどうなったであろう。
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すばるぅさんと合流するが、御浜まで直線的に登り返すのは面白味に欠けるので、扇子森の北面を大きく斜登高して、外輪山に立ち寄ることにした。
外輪山の絶壁の上から稲倉岳とは少しアングルが異なる新山を見上げる
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千蛇谷を登る登山者が蟻の行列のように見えている。
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この地点からは稲倉岳に至る蟻の戸渡りの状況が良く分った。
キレットの先に位置するジャンダルムとも呼ばれる岩峰は、正面突破は難しそうで、この地点から見えていない西側を巻くしか通過できないようだ。
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鳥海山の内院、鳥越川と赤川源流域の火口原を見下ろす。
この日は中島台まで下るスキーヤーの姿が数パーティ確認できた。
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風のほとんどない火口壁の縁に腰を下ろし、コーヒーを飲んで寛いでいると、2羽のトビが繰り返し上空を飛んでいた。
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夏には行けない場所からの風景を充分楽しんだ後、御浜まで斜めに登り返した。
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御浜に着くと、再び南からの強風が襲ってくる。
雪に埋もれた鳥海湖の奥に月山森と鍋森が見えている。
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小さな雪庇のある御浜の最高点までは緩い登りが続く。
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シールを剥がして、いよいよ大平駐車場まで滑り降りるが、一気に滑ると短時間で着いてしまうので、写真を撮りながらゆっくり下った。

長坂道を離れると鳥海山の新山と外輪山は見納め。
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夏に広大なお花畑が出来る笙ヶ岳は今は完全に雪に覆われている。
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途中の緩斜面は完全に貸切状態。
モンキィさんの滑り。
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海に向かって滑っていくような錯覚に陥る。
すばるぅさんの滑り。
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今回は少し北側にルートを採りながら滑った。
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マスさんも楽しそうに滑っている。
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適当に滑っていたら県境口方面に寄り過ぎたので、斜面をトラバースして大平口へ軌道修正した。
水田に水が張られた庄内平野が一望できた。
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最後は荒れた雪面を滑ると駐車場の真上に出る。
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駐車場でマスさんの踵のマメを見たら、500円玉ぐらいの水泡ができていた。
今後は事前にカットバンを貼るなど対応が必要と感じた。
結局、文珠岳には行けなかったし、危うい事件もあったけど、楽しい一日だった。

道の駅に戻ってすばるぅさんの車を回収。
その後、吹浦の菜の花畑から鳥海山の写真を撮る。
今流行りのドローンで動画を撮影していた人もいた。
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その後、八幡町の八森温泉ゆりんこに入浴し、登山の汗を洗い流した。
帰り道は渋滞にも合わず、効率よく帰仙できた。

GPS軌跡です。
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動画です。