ゴールデンウィーク後半の一座は置賜の葉山へ。
村山地方の葉山との混同を避けるため長井葉山とも呼ばれている。
平頂のこの山は緑が生い茂ると景色が見える場所が限られるが、残雪期の今は新緑と残雪の色彩、そして雄大な景色が同時に楽しめる魅惑の山に変わる。

【 5/3 長井葉山(1237m) 山形・朝日連峰 】
森林公園駐車場~白兎登山口~十二神将~駒ノ平~姥石~弥陀ノ滝~葉山神社~1237m最高点~奥ノ院~草岡山~おこやの坂~追分分岐~展望台~ブナ散策路分岐~大角沢登山口分岐~かんかね館跡分岐~林道~林道ゲート~勧進代登山口~森林公園駐車場

最上川を隔ててみた長井葉山。
何処が山頂なのか漠然と眺めても分からない。
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森林公園の駐車場に到着。
その後、現地のガイドツアーの一行が続々と駐車場に集まってきた。
ここでご一緒するモンキィさん、tammyさんと待ち合わせる。
この日はマスさんと私を含め4人パーティである。
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鳥居のある白兎登山口まで林道を少し歩く。
左手の湿った場所にミズバショウが咲いていた。
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登山口には以前登った時にはなかった看板が設置された。
かなり細かく記載されていて分かりやすい。
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急な階段を登り尾根に出ると、なだらかな登りに変わる。
ムラサキヤシオが清々しい色彩で咲いている。
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登山道沿いにはショウジョウバカマが多く咲いていた。
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イワナシの花も見つける。
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ブナの新緑が美しい。
一年で一番好きな季節だ。
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田代沢対岸の勧進代コースがある尾根も新緑が駆け上がっている。
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登りの傾斜が緩んで平になったところは駒ノ平と呼ぶのであろうか?
葉山の平らな稜線が望める。

しかしこの付近から掘れた登山道に断続的に残雪があり、歩き難くなる。
写真のこの雪は私が通過した時に崩れてしまった。
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標高800m付近から登山道は完全に残雪に隠れる。
スパッツを装着するために立ち止まっていた、大きな荷物を背負った女性を追い抜く。
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対岸の斜面を見る。
沢筋を駆けあがる雪渓と、ブナの根開きが春を感じさせてくれる。
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太いブナと大きな石があるところで一服する。ここが姥石か?
先ほど追い越した女性に『もしかしてSONEさんですか?』と言われる。
『私、テントミータカ(mikagemoriさん)なんです。やっと会えた!』
正に思いもよらない嬉しい出会いだった。
私がブログを開設したばかりの2007年。
只見の笠倉山の山行記事をアップした時にメッセージを頂き、それからコメントのやり取りをずっとしていて、今まで何度も山でのニアミスがありながらご縁がなく、お会いしたくても実現しなかったそのご本人にお会いできたのである。この出会いだけでも葉山に登った甲斐があった。
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mikagemoriさんは慣れ親しんでいる葉山山荘にこの日は御泊りとか。
ここで先行されてゆっくり登っていかれた。
我々は写真撮影のため尾根を右往左往するので、登るピッチはmikagemoriさんの方が早い。

天気は予想より回復が遅れているようで、強風に乗った雲が去来し、光線状態が一定しない。
下界は晴れているようで、中腹より下部の新緑が別世界のように見える。
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mikagemoriさんを先頭に残雪にキックステップを刻んでゆっくり登る。
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大鮎貝川源頭部を見る。
写真でが判別できないが、沢の岩場に湧き水が滝のように流れ出ていた。
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ここまで登れば、主稜線はもうすぐ。
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小規模な滝が雪渓の切れ目から顔を出している。
弥陀ノ滝であろうか?
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写真を撮るため、尾根の右端へ行ったり、左端へ行ったり、我ながら落ち着かない山歩きだなぁ~と苦笑してしまう。
田代沢源頭の斜面を急斜面トラバースして撮った一枚。
平坦な葉山のイメージとは異なる姿が見られた。
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主稜線直下の緩斜面に出る。
雨水が流れた縦溝の造形が面白い。
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置賜平野と、屈曲して流れる最上川。左端の山は白鷹山。
ちょっと霞んでいて、蔵王連峰が見られず残念だった。
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ほとんど平坦な葉山の頂稜。
ガスられると環状彷徨の危険性が高い。
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葉山山荘と、背後に祀られた葉山神社に着く。
右のお宮は葉山宮(葉山権現)。明徳4年(1393年)に丹州の修験僧・恵法律師が郷の古池から発見された薬師尊像を祀るために、地元民の力を借りてこの地に建立した食穀守護の神社である。
そして左のお宮は月山宮(権現)。西暦600年ごろ、三十二代崇峻天皇の第三皇子・能余太子が開山し阿弥陀如来が祀られている。この二つのお宮は20年ごとに交互に建て替えられているとか。
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葉山神社にお参りして、令和元年参拝記念御守を500円の浄財とともに受けた。
令和初登山のよい記念になった。
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風が冷たいので葉山山荘の中に入って、マスさんお手製の和菓子『きんとんと花』を食べる。
温かいお茶とともに食べると、身体も温まった。
2019050325きんとんと花

ここからmikagemoriさんと一緒に葉山山頂界隈を散策する。

御田代湿原はまだ雪の下。
平な雪原が広がっていた。
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これだけ茫漠と広い山頂は滅多にないと思う。
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手前の丘が奥ノ院。
奥の平頂は昭和堰がある草岡山。
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三体山が見えている。
手前の広い尾根は安部ヶ館山方面。
草岡山から往復8km弱もあるので、白兎登山口から日帰りで行ってくるのはちょっと無理か。
全行程20kmを超えてしまう。
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葉山山荘の真西にある1237m峰まで行ってみる。
ここは展望が良いため、地元のツアーでも案内しているらしい。
左に雪庇を見ながら少し急坂を登る。
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期待した大朝日岳は山頂部に雲がかかって見えなかった。
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右手の小朝日岳と鳥原山はくっきり見えている。
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mikagemoriさんを囲んで皆で記念写真。
mikagemoriさん、明日は八形峰を越えて中沢峰まで主稜線を往復してくるとか。
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この後、奥ノ院へ向かう。
若いカモシカが逃げていったが、写真に収めることは出来なかった。

奥ノ院から三体山、合地峰、柴倉山、そして祝瓶山を望む。
天気が良ければ飯豊連峰も見えるらしいが、それは再訪した時のお楽しみに取っておこう。
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やはり真っ先に目が行くのは均整の取れた鋭い三角形の祝瓶山だ。
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柴倉山に陽の光が当たる。
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我々のこの日のルートは南側の草岡山を越えて、追分分岐から勧進代コースを下る。
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沢筋を通って葉山山荘へ戻る。
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山荘近くで、次に奥久慈の山での再会を期してmikagemoriさんと別れた。
日帰り登山で、仙台までの車の走行を考えると、あまり山の上でゆっくりできる余裕は無かった。

だだっ広い稜線を草岡山を目標に南下する。
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東側の展望が開けた、小さな雪庇の下で昼食をとる。
風がなく、景色が良くて最高の休憩場所だった。
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無雪期はほとんど展望が利かない稜線も、今は何処でも好き勝手に歩ける素晴らしいルートになる。
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草岡山南側のおこやの坂と呼ばれる急斜面の上に立つ。
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踵キックステップを刻んで、ザクザクと快適に急坂を下る。
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一段下ってから北側に連なる斜面を見る。
奥のピークは三等三角点:蒜畑が設置されたピーク。
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もう一段、標高差50mの急な坂を下りきった平地に追分分岐の標識を見つけた。
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分岐を左折してブナの二次林と思われる尾根を下る。
途中、田代沢の東斜面が望める。
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ほとんど赤テープのマーキングはない尾根だが、分岐する支尾根がないので迷うことはない。
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南東側の展望が得られる場所に出た。
そこが展望台と呼ばれるところだろう。

午後の斜光に照らされた尾根の新緑が綺麗だ。
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勧進代コースも標高800mまで下ると残雪はなくなる。
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そして新緑ラインに達する。
芽吹いたばかりの淡い春紅葉が美しい。
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この付近はマルバマンサクが花盛り。
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残雪のモノトーンの世界から、新緑の緑の色彩へ劇的に変化するのは春山の楽しみの一つである。
タムシバ咲く尾根の向こうに白鷹山が望める。
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白兎コースに比べ、勧進代コースは花が多い。
イワウチワロードが続く。
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大角沢登山口分岐はカタクリの花園になっていた。
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林道歩きを嫌って、かんかね館跡へ向かう尾根コースをたどる。
ショウジョウバカマも多く咲いていた。
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右にかんかね館跡へ行く道が分岐する。
かんかね館はいったん急坂を下って登り返した地点にあるらしいが、今回は立ち寄らず尾根道を直降した。

途中、長井市が望める場所があった。
この頃から霞が取れて視界がクリアになってきた。
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タムシバが多く咲く一帯を過ぎて。
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湿った滑りやすい急坂の途中で、キバナイカリソウを見つけ。
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最後はゼンマイが生えている窪状の斜面を下ると、かんかね館跡登山口標識がある林道へ降り立った。
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後は林道を下る。
砂防ダムがある場所の少し上にはゲートがあり、林道の一般車走行はできないようだ。
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ゲートの下に車10台ほど駐車できるスペースがあった。
そこから広域農道を経て森林公園駐車場まで約1.5kmの車道歩きになる。
森林公園駐車場の駐車車両は朝方より増えていた。

思いもよらない嬉しい出会いがあり、長井葉山は忘れ得ぬ山になった。
しかし累積標高差1130m、歩行距離13kmなので、決して簡単な山ではなく、残雪期に登る場合は、山慣れた方の同行が必要と思う。

GPS軌跡(クリックで拡大)。
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