11日・土曜日はコロナウィルス感染の三密を避けて、県内の、おそらく誰にも会わない後白髪山に登ってきた。
残雪期の山の取材を目的としているが、途中の急な雪稜がガイド記事として紹介できるか否かが課題である。
【 4/11 後白髪山(1422m) 宮城・船形連峰 】
定義林道入口~後白髪山登山口~作業道分岐~定義林道4km地点~ロボット雨量計~水茶屋~角平山~雪稜~後白髪山(往復)
根白石から県道263号を使って定義如来を目指す。
途中、泉ヶ岳が一望できる場所で車を停めた。

残雪期の山の取材を目的としているが、途中の急な雪稜がガイド記事として紹介できるか否かが課題である。
【 4/11 後白髪山(1422m) 宮城・船形連峰 】
定義林道入口~後白髪山登山口~作業道分岐~定義林道4km地点~ロボット雨量計~水茶屋~角平山~雪稜~後白髪山(往復)
根白石から県道263号を使って定義如来を目指す。
途中、泉ヶ岳が一望できる場所で車を停めた。

視線を左に振ると三峰山と後白髪山が見えてくる。
風が強く、山頂付近に雲が纏わりついている。

定義林道の入口は施錠されていた。
林道に崩落があったようだ。
登山届ポストが置かれているので、現在はこの林道入口が実質的な登山口になる。

林道は新たに砕石が敷かれていた。
作業車が入った形跡もある。
入口から約1km林道を歩くと左に登山道が派生する。

登山道と言っても古いブル道を登る。
途中、松沢山が見える場所があった。
以前ebiyanさんと山頂を踏んだ記憶が蘇る。

松沢山の展望地から少し登ると、右に登山道が分かれる。

スギ林を緩く登って行くと、やがてミズナラとブナが混生した二次林に出る。
そんなに多くないが道沿いにイワウチワが咲いていた。

芽吹き前の二次林を緩登すると、定義林道の4km地点に出る。

何処にワサビが生えているのか? と毎回訝しく思うわさび沢の看板を見て、少し急な坂を登り、道が平坦になるとロボット雨量計が現れた。
昔、初めて後白髪山を登った時に、霧の中に雨量計が浮かび上がってきたとき、とても怖く感じたことを思いだす。

水茶屋付近からずっと残雪を踏む工程になる。
夏道は使えないので、左の尾根に斜登高していく。
ここからしばらくの間、ブナの森が続く。

角平山山頂を通過。ここから約1km雪庇の上を歩く。

雪庇は今年の小雪でほとんどないのかな? と思っていたら、多少低木が立ち上がっているけど、ほとんど気になることなく雪庇の上を歩けた。

雪庇越しに後白髪山がどんどん近づいてくる。

小さな鞍部から雪庇の尾根を外れて、平坦なブナ林の中を歩く。

そして急な雪稜の基部に達する。
ここまでツボ足で歩いてきたが、急坂の登りに備えてアイゼンをつける。
雪稜は一番急なところは40度ぐらいの斜度があるだろう。
以前、スキーで来た時は、カチカチにクラストした雪面に、新雪が30cmぐらい乗っていて、登っていくと新雪にクラックが入り、途中で小規模な雪崩が発生して8mぐらい流されてしまった。
あまりに危険なので、引き返した苦い思い出がある。
今回の雪質もあまり良いとは言えない。
クラストした固い雪面に10cmぐらい腐った新雪が乗っている。
この腐れ雪の始末が悪く、アイゼンのクランポンの間に板状にもっこが付いてしまい、いちいち立ち止まってストックでもっこを落とす作業が必要になった。
それでも登りはクランポンの爪を深くけりこめるので怖くない。下りが大変だ。
ピッケルを持参せず失敗したと思った。
急な雪稜を休み休み登る。
一歩ごとに視界が広がる。
天気が良く、二口山塊から蔵王連峰にかけての奥羽山脈の山々が一望だ。

蔵王連峰のアップ。

大東岳は泉ヶ岳から見るよりかなり近い。

この角度から見ると、面白山の東稜が非常にヤセ尾根なのが分かる。

大倉ダムの右下のところに定義如来の建物が見える。

なかなか雪稜の上に出ない。

標高1250m付近まで乗り上げると
寒風山から白髪山に至る県境稜線が見えてきた。

寒風山と奥寒風山の背後に朝日連峰が屏風の様に連なる。

標高1300m付近。
再び後白髪山の山頂が現れた。
吹き溜まりの積雪が深いところで30cmぐらいあり、できるだけ北西よりに固い雪面を選んで登って行く。

夏道との合流点付近まで登る。泉ヶ岳の奥に松島湾が確認できた。

夏道は灌木が吹き溜まった雪が邪魔で使えない。
仕方なく潤沢に残雪が残る東側に迂回して山頂を目指す。
大崎市方面を遠望していたら、黒い煙が立ち上っている。
尋常な煙ではないので火事ではないかと写真を撮った。
翌日の新聞を見たら、木造平屋建ての家屋が全焼したらしい。

真っ白い雪原を登る。
振り返ると泉ヶ岳と北泉ヶ岳が見えている。

そして後白髪山の山頂に到着。
北西風が冷たくてとても休憩できる場所ではない。
踏み抜きが激しい登山道を北側に下って船形山を見に行く。

船形山のアップ。
晴れた週末なので登っている人は多いだろう。
その反面、この山頂には人っ子一人いない。

右には三峰山が近い。

北西には柴倉山など凸凹した岩っぽい山々が密集している。

とくに突き出ているのが白森、柴倉山、仙台カゴの峰々だ。

鳥海山は中腹より下部しか見えない。
しかし薬師峰と蛇ヶ岳の間に神室連峰の小又山と神室山が見えていた。

蛇ヶ岳の右手には虎毛山と須金岳の稜線が遠望できる。

三峰山の左肩には栗駒山。

身体が寒くなったので、写真撮影は打ち切り下山の途にかかる。
山頂東側の雪原をいったん左方向に下ってみる。
三峰山の横川方面に落ち込む斜面がより広く見えてきた。

泉ヶ岳を眺めながら大きく斜面をトラバースして往路のトレースに戻る。

風が吹き抜けない場所を見つけて昼食をとった。
ときたまラインのメッセージが入るが、電波状態が微妙で、こちらから返信が上手くできない。
1300m付近まで下ってくると、月山を隠していた雲が切れ、月山の全貌が現れた。

大朝日岳の山頂にかかる雲も消えた。

仙台平野の広がりを眺める反面、心のどこかで急な雪稜をどう下ろうか考えながら下る。

急な雪稜の下りは、最初、強く踵キックステップすれば大丈夫だと思ったが、腐れ雪のもっこがクランポンの爪を隠してしまうため無理と判断。
右手の低木帯は薮が出ているので、左のブナの低木帯に逃げて、低木をつかみながら一歩一歩下る。
この作戦は成功。もっこは木につかまりながら片足を上げてストックで何度も叩き落とした。
写真では分かり難いがかなり急傾斜な樹林帯を一気に下る。

雪稜の下に出てほっとした。
これから先は危険個所は一切ない。
今回の状況を見ると、この雪稜を安全に登り下りできるのは雪質がザラメになった時に限られるであろう。ちょっと危険過ぎてガイド記事を書くのは難しいかな、と感じた。

雪庇の尾根に戻ると、私が朝に出発する直前に来た男性?の靴跡がついていた。
その男性は雪庇を歩いて下っていったようだ。
今回は雪庇の下は藪が立ち上がっていて歩けないので、忠実に雪庇の上を戻った。
午後の斜光で雪庇に陰影がつき、より立体的に見えている。

ブナの森も鮮烈な光より、長閑な光景に見えるのが不思議だ。

ただし、登りの時より雪面の踏み抜きが多くなり、その点では歩きに気をつかった。

ロボット雨量計から下部は、雪が消えて単調な歩きが続く。
ほとんど急な下りがなく、イワウチワ以外に花も少ないため、惰性で車に戻った感じだった。

取材目的としては満足いかない山となったが、素晴らしい展望を満喫できただけでも行った甲斐があった。
林道入口から往復すると距離16.7km、累積標高差1160m。
宮城県でも単独の山の登山としてはトップクラスのハードな山になると思う。
GPS軌跡。

風が強く、山頂付近に雲が纏わりついている。

定義林道の入口は施錠されていた。
林道に崩落があったようだ。
登山届ポストが置かれているので、現在はこの林道入口が実質的な登山口になる。

林道は新たに砕石が敷かれていた。
作業車が入った形跡もある。
入口から約1km林道を歩くと左に登山道が派生する。

登山道と言っても古いブル道を登る。
途中、松沢山が見える場所があった。
以前ebiyanさんと山頂を踏んだ記憶が蘇る。

松沢山の展望地から少し登ると、右に登山道が分かれる。

スギ林を緩く登って行くと、やがてミズナラとブナが混生した二次林に出る。
そんなに多くないが道沿いにイワウチワが咲いていた。

芽吹き前の二次林を緩登すると、定義林道の4km地点に出る。

何処にワサビが生えているのか? と毎回訝しく思うわさび沢の看板を見て、少し急な坂を登り、道が平坦になるとロボット雨量計が現れた。
昔、初めて後白髪山を登った時に、霧の中に雨量計が浮かび上がってきたとき、とても怖く感じたことを思いだす。

水茶屋付近からずっと残雪を踏む工程になる。
夏道は使えないので、左の尾根に斜登高していく。
ここからしばらくの間、ブナの森が続く。

角平山山頂を通過。ここから約1km雪庇の上を歩く。

雪庇は今年の小雪でほとんどないのかな? と思っていたら、多少低木が立ち上がっているけど、ほとんど気になることなく雪庇の上を歩けた。

雪庇越しに後白髪山がどんどん近づいてくる。

小さな鞍部から雪庇の尾根を外れて、平坦なブナ林の中を歩く。

そして急な雪稜の基部に達する。
ここまでツボ足で歩いてきたが、急坂の登りに備えてアイゼンをつける。
雪稜は一番急なところは40度ぐらいの斜度があるだろう。
以前、スキーで来た時は、カチカチにクラストした雪面に、新雪が30cmぐらい乗っていて、登っていくと新雪にクラックが入り、途中で小規模な雪崩が発生して8mぐらい流されてしまった。
あまりに危険なので、引き返した苦い思い出がある。
今回の雪質もあまり良いとは言えない。
クラストした固い雪面に10cmぐらい腐った新雪が乗っている。
この腐れ雪の始末が悪く、アイゼンのクランポンの間に板状にもっこが付いてしまい、いちいち立ち止まってストックでもっこを落とす作業が必要になった。
それでも登りはクランポンの爪を深くけりこめるので怖くない。下りが大変だ。
ピッケルを持参せず失敗したと思った。
急な雪稜を休み休み登る。
一歩ごとに視界が広がる。
天気が良く、二口山塊から蔵王連峰にかけての奥羽山脈の山々が一望だ。

蔵王連峰のアップ。

大東岳は泉ヶ岳から見るよりかなり近い。

この角度から見ると、面白山の東稜が非常にヤセ尾根なのが分かる。

大倉ダムの右下のところに定義如来の建物が見える。

なかなか雪稜の上に出ない。

標高1250m付近まで乗り上げると
寒風山から白髪山に至る県境稜線が見えてきた。

寒風山と奥寒風山の背後に朝日連峰が屏風の様に連なる。

標高1300m付近。
再び後白髪山の山頂が現れた。
吹き溜まりの積雪が深いところで30cmぐらいあり、できるだけ北西よりに固い雪面を選んで登って行く。

夏道との合流点付近まで登る。泉ヶ岳の奥に松島湾が確認できた。

夏道は灌木が吹き溜まった雪が邪魔で使えない。
仕方なく潤沢に残雪が残る東側に迂回して山頂を目指す。
大崎市方面を遠望していたら、黒い煙が立ち上っている。
尋常な煙ではないので火事ではないかと写真を撮った。
翌日の新聞を見たら、木造平屋建ての家屋が全焼したらしい。

真っ白い雪原を登る。
振り返ると泉ヶ岳と北泉ヶ岳が見えている。

そして後白髪山の山頂に到着。
北西風が冷たくてとても休憩できる場所ではない。
踏み抜きが激しい登山道を北側に下って船形山を見に行く。

船形山のアップ。
晴れた週末なので登っている人は多いだろう。
その反面、この山頂には人っ子一人いない。

右には三峰山が近い。

北西には柴倉山など凸凹した岩っぽい山々が密集している。

とくに突き出ているのが白森、柴倉山、仙台カゴの峰々だ。

鳥海山は中腹より下部しか見えない。
しかし薬師峰と蛇ヶ岳の間に神室連峰の小又山と神室山が見えていた。

蛇ヶ岳の右手には虎毛山と須金岳の稜線が遠望できる。

三峰山の左肩には栗駒山。

身体が寒くなったので、写真撮影は打ち切り下山の途にかかる。
山頂東側の雪原をいったん左方向に下ってみる。
三峰山の横川方面に落ち込む斜面がより広く見えてきた。

泉ヶ岳を眺めながら大きく斜面をトラバースして往路のトレースに戻る。

風が吹き抜けない場所を見つけて昼食をとった。
ときたまラインのメッセージが入るが、電波状態が微妙で、こちらから返信が上手くできない。
1300m付近まで下ってくると、月山を隠していた雲が切れ、月山の全貌が現れた。

大朝日岳の山頂にかかる雲も消えた。

仙台平野の広がりを眺める反面、心のどこかで急な雪稜をどう下ろうか考えながら下る。

急な雪稜の下りは、最初、強く踵キックステップすれば大丈夫だと思ったが、腐れ雪のもっこがクランポンの爪を隠してしまうため無理と判断。
右手の低木帯は薮が出ているので、左のブナの低木帯に逃げて、低木をつかみながら一歩一歩下る。
この作戦は成功。もっこは木につかまりながら片足を上げてストックで何度も叩き落とした。
写真では分かり難いがかなり急傾斜な樹林帯を一気に下る。

雪稜の下に出てほっとした。
これから先は危険個所は一切ない。
今回の状況を見ると、この雪稜を安全に登り下りできるのは雪質がザラメになった時に限られるであろう。ちょっと危険過ぎてガイド記事を書くのは難しいかな、と感じた。

雪庇の尾根に戻ると、私が朝に出発する直前に来た男性?の靴跡がついていた。
その男性は雪庇を歩いて下っていったようだ。
今回は雪庇の下は藪が立ち上がっていて歩けないので、忠実に雪庇の上を戻った。
午後の斜光で雪庇に陰影がつき、より立体的に見えている。

ブナの森も鮮烈な光より、長閑な光景に見えるのが不思議だ。

ただし、登りの時より雪面の踏み抜きが多くなり、その点では歩きに気をつかった。

ロボット雨量計から下部は、雪が消えて単調な歩きが続く。
ほとんど急な下りがなく、イワウチワ以外に花も少ないため、惰性で車に戻った感じだった。

取材目的としては満足いかない山となったが、素晴らしい展望を満喫できただけでも行った甲斐があった。
林道入口から往復すると距離16.7km、累積標高差1160m。
宮城県でも単独の山の登山としてはトップクラスのハードな山になると思う。
GPS軌跡。
