栗駒山界隈の遊歩道の登山道調査に行ってきた。
メインは新たに遊歩道が整備された白糸の滝と、栗駒野鳥の森だ。

【 6/13 栗駒山山麓の6つの遊歩道 宮城と秋田 】
●浅布渓谷:浅布渓谷遊歩道入口~T字路~四巻の滝~T字路~不動の滝~T字路~浅布渓谷遊歩道入口

最初は国道398号沿いにある浅布渓谷の遊歩道調査。
前回訪れた時は少し薮っぽかったが、今回は草刈りが行われ歩きやすい。
歩道の両脇にノアザミが咲いている。
2021061301

T字路を右折して四巻の滝へ。
この滝は水際まで降りられる。
2021061302

次はT字路の北側の不動の滝へ。
展望できる場所の柵が一部崩壊して、滝の全貌が見える場所へ行けなかった。
2021061303

●白糸の滝遊歩道:駐車場~短縮ルート入口~白糸の滝~短縮ルート入口~新ルート入口~林道を歩いて駐車場

河北新報に下記の情報が掲載された。
『宮城県栗原市花山の名勝「白糸の滝」の遊歩道の新ルートが、完成した。2008年の岩手・宮城内陸地震で崩れるなどしてこれまで通行できなかった。地域住民でつくる一般社団法人はなやまネットワークが市と整備した。
 遊歩道は全長約2・5キロで、カツラやブナなど広葉樹の森を通る。白糸の滝は高さ約50メートルの岩場を水が白色の線を描き滑り落ちる観光名所で、遊歩道はトレッキングや小学生の遠足のコースに利用された。
 同法人は18年、地元の観光資源を復活させようと関係団体と新ルートの調査に着手。通行不能地点を迂(う)回(かい)するルートを探った。
 20年10月から市と倒木の撤去や下草の刈り払い、目印テープの貼り付けをして、今年5月末に整備を終えた。
 同法人の伊藤広司さん(73)は、「新緑は6月まで楽しめる。10月の紅葉のシーズンもお薦め」と復活した遊歩道をPRする。
 白糸の滝の約1キロ手前に車を止める短縮ルートもある。市は近く、遊歩道の入り口や駐車場の案内板を設置する。』

これは山と高原地図に記載しなければならない。と言う事で、今回の登山道調査のメインに据えた。

花山の寒湯番所跡から七曲りの坂を登り、その先右手に白糸の滝駐車場に向かう林道入口がある。
普通車も通行可能な林道を1.7km走行すると右手に駐車場が出てくる。
実は駐車場の表示を見落として、林道をさらに奥まで進み、一迫川にかかる橋まで行ってしまった。

駐車場から約150m戻ったカーブの右手に白糸の滝遊歩道入口がある。
短縮ルート入口という記載はない。
2021061304

遊歩道に入ってすぐにシダが繁茂した凹地が出てくる。
2021061305

少し下るとスギ林になる。
ヤグルマソウが咲いている。
2021061306

滝の音が聴こえたら白糸の滝が突然という感じで見えた。
2021061307

滝の落差は45mもしくは50mとも言われている。
名前の通り白糸を流したような優美で優しい感じの滝だった。
2021061308

往路を短縮ルート入口まで戻り、そこから新ルートをたどる。
新しく伐られたルートなので少し歩き難い。
見どころは写真のカエデの木が絡みついたカツラの木であろうか。
2021061309

新ルート入口付近に駐車スペースはなく、林道を歩いて車に戻った。

次に向かうのは秋田県側の文字越散策路。
田代沢林道入口に車を停めて入山すると、すぐにブナの原生林に囲まれる。

田代沼はオゼコウホネが咲く沼として林野庁ではパンフレットで紹介している。
https://www.rinya.maff.go.jp/tohoku/policy/business/management/hozen/pdf/tasironuma.pdf
オゼコウホネは本州においては尾瀬と月山でしか見られない、というのが通説であったが、このパンフレットを読むと、南八甲田、八幡平長沼、早池峰などにも分布しているらしい。

田代沼の佇まい。
遠目ではヒツジグサとオゼコウホネの葉っぱの同定は難しい。
花期に長玉の望遠レンズを持参しないと撮影は難しそうだ。
手前に繁るのは花の終わったミツガシワ。
木道沿いにはコバイケイソウが咲いていた。
2021061310

それよりも驚いたのはルリイトトンボの多さ。
たくさん飛び回っていた。
2021061311

散策路をたどり北側の湿地を見ると、ここはコバイケイソウの群生地だった。
開けたところまで少し下り、木に登って望遠ズームで撮影。
今年はコバイケイソウの当たり年の感じだ。
2021061312

お助け小屋跡に生える三本杉
2021061313

鳥居を潜ると国道398号に出る。
国道を歩いて車に戻った。

須川温泉方面へ走行し、シラタマノキ湿原を歩く。
庭園の様な長閑な佇まいの奥に秣岳が聳えている。
この一帯は現在タケノコ採りの入山者が非常に多い。
2021061314

苔が繁茂したシラタマノキ湿原はワタスゲが見ごろを迎えていた。
2021061315

2021061316

ムラサキヤシオが淡い新緑の中にひと際生える。
木道が新しくなって歩きやすい。
2021061317

高層湿原の泥炭層が露わになったところ。
以前より湿原末端の崩落が進んでいる感じがした。
2021061318

車をイワカガミ湿原の駐車場に移動。
イワカガミ湿原入口付近に咲くマイズルソウ
2021061319

イワカガミ湿原もシラタマノキ湿原と同様にワタスゲが見事だった。
2021061320

散策路沿いに咲くイワカガミ
2021061321

湿原を眺めながらベンチに座ってマスさんお手製の和菓子『岩根のつつじ』を食べる。
2021061322

休憩後、イワカガミ湿原に設置された木道を、剣岳を眺めながら一周する。
須川湖方面へ行く歩道は橋が流されたために通行止めになっている。
2021061323

タテヤマリンドウが花盛り。
2021061324

湿原の東側はイワカガミが多く咲いている。
2021061325

秣岳を背景にイワカガミを撮影。
少し下部が窮屈な写真だが、これ以上アングルを下げると木道の木が見えてしまう。
2021061326

車に戻る途中、県道沿いに咲いていたズダヤクシュを撮る。
2021061327

この日の登山道調査の最後は栗駒野鳥の森だ。
入口の看板を見て右回りに周回する事に決める。
2021061328

以前は泥濘の多かった道は整備が入って歩きやすくなった。
この砕石、どういう工法で台形に固めたのであろうか?
2021061329

壊れていた木道の箇所は全て新しく木道に交換されている。
2021061330

この日の湿原の主役はミツガシワ。行けども行けども咲き誇っている。
こんなにミツガシワを一ぺんに見たのは初めてだ。
2021061331

ミツガシワの花のアップ。
とても繊細な造形の花だと思う。
2021061332

こんなに素晴らしいところなのに、登山者の皆さんは栗駒山を目指してしまい、この森に立ち寄る人は稀で勿体ない感じがする。
2021061333

一番奥の分岐びザックをデポして湿地沢へ降りてみる。
以前あった歩道橋は大雨で流されてしまい、現在は石飛で渡渉するより方法はない。
カメラを片掛けで持っているだけなので、渡渉に失敗して水没するのも怖いため、渡渉せずにここから分岐まで引き返した。
この渡渉点は雪解けや大雨の増水時は渡渉困難になると思う。
またストックがあると安全だ。
2021061334

下りは全ての分岐を右折して進む。
上部のブナの森が美しい。
2021061335

ツバメオモトは終盤。
今年はあまり見る機会がなかったので、ここで見れて良かった。
2021061336

アカモノ。この日の工程で咲いている場所は少ない。
2021061337

これも花の終盤のサンカヨウ
2021061338

コバイケイソウは次の週末に見ごろを迎えると思う。
あちこちに群生していて、花芽は非常に多かった。
2021061339

車に戻り、須川高原温泉へ行ってコーラを買って飲む。
蒸し暑い一日だったのでとても美味しく感じた。

後は花山経由で帰宅の途についた。
天気予報通り、午後から山に雲がかかり始め、帰りには曇ってしまった。
たまに山麓の遊歩道巡りも楽しいものだ。

今回の調査時にマスさんが見つけたイチヨウラン1属1種で、日本固有種。花期は5~7月。漢字では『一葉蘭』と書く。
乱獲により激減した貴重な花なので咲いている場所は書かない。
2021061340

イチヨウランの花のアップ。
2021061341


一応、詳しい登山道情報のない白糸の滝遊歩道のGPS軌跡をアップ。
青い軌跡は林道。
白糸の滝