昨年の秋、鬼首の吹上にある地獄谷遊歩道の整備作業が行われている事を知った。
山と高原地図にルートが記載されている遊歩道のため、今年は調査に行かねばと考えていたが、この遊歩道だけ調査を行うために鬼首まで行くのは勿体ない話である。
そこで3年前に調査を行ったゆざわジオパークに川原毛地獄と皆瀬川トロッコ道跡をセットで歩いてくる事にした。

【 7/3 地獄谷遊歩道&川原毛大湯滝と皆瀬川トロッコ道跡(宮城・秋田・虎毛山地)
●地獄谷遊歩道:地獄谷遊歩道入口~地獄谷通行止めバリケード(往復)
●川原毛大湯滝
:県道310号の川原毛地獄駐車場~川原毛地獄入口~山神社~川原毛地蔵菩薩~湯尻沢の橋~川原毛大湯滝(往復)
●皆瀬川トロッコ道跡:大湯温泉南側の駐車スペース~トロッコ道入口~石仏~人面岩~坂井沢~猿跳峡~鉄パイプ橋~トロッコ道の鉄橋跡(往復)

雨の予報で本業は休み。
何時もの時間に起きてTVのニュースを見たり、新聞を読んだりしていた。
PCの電源を入れ、東北の天気予報を眺めていると、秋田方面の平野部は雨が降っていないようだ。
雨雲レーダーを確認したらお昼ごろには雨雲も抜ける感じなので、急きょ高い山じゃなく、三か所の遊歩道の調査に行く事にした。家を午前9時過ぎに出る。

地獄谷遊歩道入口の駐車場に着くと晴れ間が出てきた。
もう整備工事は終わっていると思っていたら今年の11月30日までかかるらしい。
2021070301

雨に濡れた木製の階段を下りて川を渡る。
その先の木道は綺麗に整備されている。

2021070302

熱湯が湧きだす湯壺や小さな噴気が多く、小規模ながら地球の息吹を感じさせてくれて面白い。
2021070303

通年噴気が立ち昇る紫地獄
ここがこの遊歩道の一番の見どころだ。
2021070304

この先は木道の整備が未だ行われておらず、べニア板を敷いたところを歩く。
歩道が崩落したところで通行止めになっていて引き返した。

次は川原毛地獄と大湯滝を歩く。
3年前に歩いた記録はコチラ↓(詳しい内容が書かれています。)
2018.7.29 ゆざわジオパーク(秋田県・虎毛山地)
この記事は写真ペタペタでかなり省略して書きます。

川原毛地獄の駐車場に着くと、東南アジア系の何組もの家族が大湯滝目指して下っていた。
どんより曇っているが雨は上がったようだ。眼下に川原毛地獄の賽の河原が見える。
2021070305

火山性ガスが立ち昇る地獄の光景を眺めながら下っていると、大湯滝の駐車場が見えてくる。
背後の山は東鳥海山。
2021070306

川原毛地獄の植生を代表するヤマタヌキラン
2021070307

湯尻川の上流を見ると沢床に温泉が自噴している。
2021070308

駐車場から山道を下り、湯尻川にかかる橋を渡る。
緑色の流れは熱湯なので触らないように、と注意書きがある。
2021070309

ブナの繁る斜面を九十九折りで下ると大湯滝に着いた。
梅雨時に当たり、水量が多いため、お湯の温度は少し低い感じがした。
2021070310

駐車場まで標高差310m登り返す。
往復4kmあり、低山を一山登ったくらいのアルバイトだった。

次に奥小安と呼ばれる皆瀬川トロッコ道跡に向かう。
大湯温泉を過ぎた左手の旧道に駐車スペースがある。
2021070311

この皆瀬川トロッコ道跡は現在は釣り人と沢登りの登山者、そして山菜取りの方々に使われているようだ。極緩い勾配で登っていくのだが、感覚的には平坦な道を歩いている感じがする。
2021070312

エゾアジサイが梅雨時期の花のメイン。
2021070313

凝灰岩を削って作った道に安置されていた石仏
2021070314

傍らにはヨツバヒヨドリが咲いている。
2021070315

川の左岸は虎毛層の凝灰岩の大きなスラブが見えている。
2021070316

視線を右下に降ると人面岩と名づけられた奇岩が張り出している。
2021070317

少しだけオニシモツケが咲いている。
2021070318

板井沢にかかる仮橋を渡ってしばらく歩くと、猿跳峡が近づいてくる。
道はイタドリが繁茂して薮っぽくなってきたと思ったら、前方にイノシシが立ち塞がり、ブゥブゥ鳴きながらこちらを威嚇してきた。
足元には茶色い小動物がもぞもぞ動き、ウリ坊が何匹かいる感じ。
見合った状況でイノシシは動かないため、写真を撮ろうとカメラのレンズをイノシシに向けた途端、脱兎のごとくイノシシ親子は逃げていった。
先に進むと道はイノシシのヌタ場になっていた。

猿跳峡の川原に降りる道は完全に薮に埋もれ、最近は誰も歩いていない事が分かった。
濡れて草の藪漕ぎは嫌なので、上流から猿跳峡の入口を眺める。
2021070319

川原からは猿の横顔に似た岩場が見えるのだが・・・(3年前の写真)
2021070322

このジオサイトは行程の半分は暗いスギの植林地内を歩く。
時おり出てくるブナの森にほっとする。
2021070320

単管で作った橋を渡り、足場は崩れて切れ落ちた場所を過ぎるとトロッコ道の鉄橋跡に着く。
ここがジオサイトのガイドツアーで案内する最奥の地点だ。
川の流れは目算で10m下にあり、手すりがないので歩くのは怖い。
べニア板が少し濡れて滑るので少し歩いて引き返した。
2021070321

単調な道を4km歩いて車に戻る。
もう少し皆瀬川の流れが見える場所があれば楽しいのだが、面白みに欠ける道だった。
前回、マスさんはもう二度と来なくて良いところだと言っていた。

やはり歩きなら新緑か紅葉期であろう。

帰路、花山峠から先の宮城県側は霧雨が降っていた。
花山湖から一迫に抜ける峠道を走行していると、一頭の大きな熊が車の前を横切った。
登山道よりイノシシと熊が印象に残った一日だった。

GPS軌跡はアップしません。3年前の記事を参照してください。