山仲間のたびさんから「龍ヶ岳」の登山道が龍神様のピークまで刈り払い整備されました、というメールをいただいた。鳩峰峠へ登る国道399号の冬季通行止めは11月14日と近づいている。そこでmorinoさんを誘って日曜日に登ってきた。他にyonejiyさん、モンキィさん、tammyさん、momoya君も現地で待ち合わせて一緒に登ることになった。

【 11/7 龍ヶ岳(994m)と一念峰(470m) 山形・栗子山塊 】
●龍ヶ岳:鳩峰峠~952mピーク~龍ヶ岳~龍神様のピーク
●一念峰:登山口~一念峰~登山口

今からちょうど21年前の2000年。
山形新聞に豪士山と龍ヶ岳に新たな登山道が開削される予定との記事が掲載された。
豪士山については登山道のない駒ケ岳を周回するコースを新設。
龍ヶ岳は三角点ピークから龍神様が祀られた宗教上のピーク、さらに西尾根にも道伐りを行って麓まで登山道を作る予定と記載されていた。
駒ケ岳については予定通り道ができたが、龍ヶ岳はスギの木が立つ龍神様のピークまで刈り払いが終わったが、その先の下山道の整備まで手が回らなかったようだ。
この報道を受けて。私は同年11月に鳩峰峠から龍神様のピークまで歩いている。

その後、数年間は登山道の刈り払いが行われたようだが、だんだん登山者から忘れ去られる山になってしまい、藪が繁茂してきて、やまがた百名山の選定からも外れてしまった。

この山を「分県登山ガイド 宮城県の山」に新版に入れたのは訳がある。
一番の理由は頂稜が宮城、山形、福島の三県境に位置する稀有な山である点。(宮城県における三県境ポイントは、この山の他に栗駒山の展望岩頭の西側、そして軍沢岳の南東に500m下がった地点しかない。)
また、二等三角点がある山頂まで登山道は藪に覆われている箇所が多い反面、顕著な踏み跡が残り、中級以上の登山者なら歩けるレベルの山である点。
そして出版社の意向で、登山口が他県側にありながらも、他県の「分県登山ガイド」に掲載されておらず、かつガイドルートも重複させない点が考慮された。新版ではスギの木が立つピークに龍神様が祀られているという、新たなトピックを載せられる事も選定に加味された。

そんな中、登山道の荒廃を憂慮していた地元の有志4名の方々が、10月末に山頂の北西に位置する龍神様のピークまで登山道の刈り払い作業を行った。山頂付近は灌木薮が繁茂し、道の整備には苦労されただろうと実際に歩いてみて感じた。頭が下がる思いである。

鳩峰峠に登る国道399号は現在、山形県高畠町側からのみ通行可能で、稲子地区からは行けない。
この国道、大雨の度に通行止めになるため龍ヶ岳に登れる機会は少ない感じがする。

峠の駐車場に車を停め、先ず高畠町出身の童話作家、浜田広介の代表作の一つ「むくどりの夢」の歌碑を見学する。とても悲しくなるお話ながら、心の奥底に親の優しさが刻まれる内容の童話だ。
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歌碑が建つ場所から鳩峰峠と龍ヶ岳を見る。
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東方には送電線鉄塔以外の人工物は見えない。
左の三角が五郎山、中央の三角が弥太郎山、萬歳楽山と半田山が峰続きで一つの山のように見えている。
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登山道から昔、放牧場だった笹原の斜面を登る。
一段登った場所から朝日連峰が一望できる
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南西には米沢盆地を覆う雲海の彼方に飯豊連峰が連なっている。
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鳩峰峠の駐車場を見下ろす。
標高1000m未満の低山なのに、龍ヶ岳の展望は一級品だ。
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開放的な笹原を登る。
左奥のスギの木が立つ場所が宗教上の山頂である龍神様のピーク。
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ツルウメモドキの実は殻が割れたばかり。
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米沢盆地を覆う朝霧が消えてきて、米沢市街地が少しずつ見えてきた。
背後の山は飯森山から栂峰の稜線。その下に笹野山が屏風の様な山容を見せている。
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952m独標に立つと吾妻連峰が見えてきた。
真ん中中央の三角山が駒ケ岳、豪士山も写真に写っているが、同定できる方は少ないと思う。
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この山も豪士山と同様にアキグミの木が多い。
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低木帯を登り切って頂稜に出る。その付近が三県境ポイントだが失念して通り過ぎてしまった。
約300m頂稜を北西に歩いて龍ヶ岳山頂に着く。360度の大展望が得られ、皆さん山座同定や写真撮影に余念がない。
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これまで見えなかった蔵王連峰が望める。
左から地蔵岳、熊野岳、刈田岳、刈田峠の鞍部、杉ヶ峰、屏風岳、南屏風岳、不忘山。
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そして北西に約556m離れた龍神様のピーク。
背後は朝日連峰。
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龍ヶ岳山頂から灌木帯を抜けてブナの森へ入ると景色が一変する。
ブナの林床の低木は積雪量の多さからすべて地を這う形態になっていて、それらの木々の枝はサルオガセを思わせるフサフサの苔が付着した緑の森になっていた。
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小規模なブナ林ながら巨木も散見する。
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急坂を登って標高982mの龍神様のピークに到着。
ここは高畠町満福寺の龍神の奥の院に当たり、江戸末期に建立されたという三基の石祠が並んでいる。
そして手前の凹地には夏の渇水期でも水が涸れない龍神池がある。
池の水をかき混ぜ、龍神を怒らせて雨が降るように祈る雨乞いの儀式が平成5~6年頃まで行われていたと聞く。
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帰路は美しい苔の数々を撮影しながらゆっくり山頂へ戻る。
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そしてもう一つの楽しみは三県境のポイントに立つ事。
登山道が頂稜から直角に折れて下る地点から20mぐらい藪漕ぎをすると、三県境ポイントに着いた。
地形図を読むとこのポイントは福島県の摺上川水系に入った尾根の一点と分かる。
本来の分水嶺で県境を線引きすると龍ヶ岳山頂から稲子峠、五郎山、峠田岳、毛倉森の尾根が県境になるべきであるが、この分水嶺を無視した変則的な県境は、1670年ごろ、百姓通しの領土争いが続き、江戸幕府が評定を行った結果、現在の宮城県七ヶ宿町稲子地区が仙台藩の直轄林となった事に起因する。1681年仙台藩は境界の警備目的で稲子に足軽10名を住まわせ、それが稲子集落の始まりとされている。
この三県境ポイントは歴史的に非常に興味深い内容を持っている。
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頂稜からの下りは早く、短時間で牧場跡のササ原に出た。
そこでは狂い咲きのヤマツツジが見られる。
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光るササ原。
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下山時には米沢盆地を覆う霧も晴れ、高畠町と南陽市の街並みが一望できた。
祝瓶山の美しい三角形が目立つ。
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刈り払い整備が終わった龍ヶ岳は初心者でも登れる展望抜群の山に変わった。
国道が冬季通行止めになるのはすぐだが、今後多くの登山者が歩いて欲しいと願うばかりである。
人が多く歩けば薮が繁茂し難くなるのだ。

GPS軌跡。
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下山後、お昼時なので高畠町の塩結びというラーメン店に立ち寄って「真鯛中華(780円)」を食べる。鯛の上品な出汁が良く出ていて、とても美味しいラーメンだった。
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お腹がいっぱいになったら、もう一山、腹ごなしに登ってみる。
米沢市と高畠町の境にある一念峰という岩山だ。
以前は上海上の登山口に車2台しか駐車できなかったが、新たに10台停められる駐車場が作られていた。
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歩き始めるとツルリンドウの実を見つけた。
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この時点で午後1時半。
秋の日はつるべ落とし。後3時間後には日暮れを迎える。
午後の日差しは色温度が低く、赤みの度合いは夏場の午後4時頃の感じだ。
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道が左に回り込んで行くと頭上に奇岩が見えてくる。
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常夜灯が一基。
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一念峰は山寺を開山した慈覚大師が、貞観2年(860年)に開山し、中世から近世にかけて慈覚大師ゆかりの修行場として隆盛を誇っていたと言われる。
この場所に昭和39年に雪で倒壊するまで一念峰本堂が建っていたらしい。
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最初に出てくる岩場がこの地蔵岩。
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紅葉盛りの南尾根を登る。
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一念峰は新緑と紅葉の時期が登山のベストシーズンだ。
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機織岩の上に立つモンキィさん。
岩は凝灰岩で山寺や福島の霊山に似ている。
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峩々とした奇岩が見えてくる。
最初にこの山に登った時は松と奇岩が織りなす中国的な風景が魅力だった。
しかしマツ枯れが進行して枯死し倒れたアカマツが増え、その景観が見られなくなったのは残念である。
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屏風岩の先にあるかえる(ビッキ)岩。
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500mにも満たない里山なのに、高い山に登った感じがして不思議。
置賜にはこの他に小湯山、観音岩、岩部山など岩山がたくさんあり、それらを一日かけて巡っても面白い。
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波のチューブを連想させる幕岩。
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午前中に登った龍ヶ岳が見えている。
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梯子岩を鉄ハシゴとクサリを使って登る。
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梯子岩の上部からかえる岩を見下ろす。
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オーバーハングした護摩壇岩の基部に不動明王が祀られている。
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縁結び岩の北側にある天狗の相撲取り岩から駒ヶ岳を望む。
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中腹の黄葉を見下ろす。
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合掌岩から一念峰北端の紙飛ばし岩を見る。
二人の登山者が岩塔の上で休憩している。
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紙飛ばし岩に南側から近づく。
こちら側から岩塔の上には登れない。北側に回り込んで岩の上に立てる。
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紙飛ばし岩に登るためには、この狭い岩の隙間を這って通過する必要がある。
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隙間を抜けると地獄岩?の岩上に出る。
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傾斜の緩い岩場をクサリを使って登ると紙飛ばし岩の上に立てる。
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紙飛ばし岩から見た米沢盆地の田園風景と朝日連峰。
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北東には高畠町上和田地区と龍ヶ岳、そして影紙飛ばし岩が望めた。
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以前はこのチムニー状のところを上り下りして紙飛ばし岩に往復できたが、今は足場の土が崩れてしまって難易度がかなり高くなった。
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帰路は往路を戻る。
一念峰は何度も登っている山ながら登る度に面白いと感じさせる山だ。
尚、地形図には一年峰と表示されているが、慈覚大師がこの峰に籠ること一年にして、弟子を残して山寺に移ったので一念(年)峰と称するようになったとの言い伝えからきている。

GPS軌跡。
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