神室連峰の有屋登山口駐車場を起点に、水晶森から前神室山を時計回りに登山道調査してきた。
最高気温は金山町で30度。猛暑とは言えない気温だが、ブナ帯の中がほぼ無風で湿度が高く、暑さが身に染みる一日だった。

【 8/6 水晶森(1097m)から前神室山(1342m) 山形・神室連峰 】
有屋登山口駐車場~水晶森登山口~黒森川沢二股~有屋峠~通信反射板~水晶森~989m峰~1060m峰~970m鞍部~水晶森分岐~前神室山~水晶森分岐~八幡神ピーク~春日神~二股~林道終点~有屋登山口~有屋登山口駐車場

朝、最上町を通過するとき霧雨が降っていた。
新庄市に抜けると神室連峰は厚い雲がかかっている。
標高が低い神室連峰の夏は暑く、過酷な登山を強いられる。
土曜日は曇りベースの天気予報だったため、稜線はガスって涼しい山歩きができると踏んで出かけてきた。しかし思惑通りに事は進まず、早い時間帯から晴れる生憎の天気(苦笑)になってしまった。

神室ダム奥の有屋登山口の駐車場に乗り入れると、車はアブに取り巻かれる。
日陰に入るとアブは少なくなるので、車道歩きは朝の涼しい時間帯に行った方が良いと感じ、今回は最初に水晶森へ登る時計回りのコース採りに決めた。
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このアブ対策の判断は当たり、数匹のアブにたかられるものの、血を吸われることなく神室ダムを周回する車両通行止めの車道を進んだ。

路ばたにはクサギの花が咲いている。
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静かな神室ダム湖。
前回歩いた時より落石は処理されている感じだが、斜面が崩落した場所もあり、決して歩きやすい車道ではない。
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キツリフネが咲き、山は秋の気配を漂わせている。
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シソ科のうす紫色の花が群生していたので、最初はナギナタコウジュかと思ったら、花がブラシ状になっておらずカワミドリのようだ。
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長雨が続き満水状態の神室ダム。
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黒森川沢にかかる橋を渡って右折すると水晶森登山口に着く。
道標はクマに齧られ、文字が消えてしまった。
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しばらく沢の右岸沿いにサワグルミが生える渓畔林を歩く。
下草が濡れていて、登山パンツの裾がだら濡れになってしまった。
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前回調査時に歩いた時、崩落して危険だったトラバース箇所は、植生が蘇り、地盤が安定して危険性はなくなった。
しかしこの右岸の沢岸を通過する地点は少し鬼門である。
今回は粗く刈り払いされていて道形は顕著ながら、濡れた岩が凄く滑るので慎重に足場を探して通過した。右から涸れ沢が合流する直ぐ上部で左岸に渡渉する。
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二股で再び石飛びに渡渉。
沢に降りるところが崩れていたため、木につかまって沢に降りた。

二股から中間尾根に取り付く。
有屋峠までの一直線の登りは神室連峰で一番急だと思う。
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途中からヒメコマツが立ち並ぶ急登になる。
道沿いにホツツジが咲いている。
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標高差で200mぐらい登った地点で、突然10mぐらい上部からクマの威嚇する声が聞こえた。
今年は吉沢杢蔵の下でも威嚇された。
今回は進行方向にクマがいるため、すぐにこちらも山中に木霊する大声を上げて威嚇し、駄目押しで笛を吹き鳴らした。すると姿が見えないクマが薮を掻き分けて尾根の右下に降りていく気配がする。
しばらく大声を上げ続けた後、クマの気配が無くなった事を確認して登り始めた。
クマがいたと思われる平坦な場所まで登ると、獣臭が立ち込めていた。

クマを撃退するのに気持ち的に疲れてしまい、桧木森が望める場所で休憩を取る。
雲が上がってきたのは良いが、この頃から急激に蒸し暑くなってきた。
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北側に桧木森から黒森を結ぶ尾根が見える。
その尾根の南東面は雪崩地がコントラストの強い山襞を見せている。
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標高860m付近から見た黒森。
リョウブの花が満開だ。
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露岩のある小さなピークでは、盆栽の様な低木が紅葉していた。
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水晶森は湧き上がる雲に隠れてはっきり見えない。
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有屋峠まで登りついた。
左手黒森への道は廃道。
以前、東日本大震災の後に三角点にチップを埋め込み、標高の再測量をするときに一度道が伐られたが、その後は整備される事なく自然に帰っている。
この地点から黒森までの稜線は国定公園の第一種特別地域に指定されているため、勝手に道を伐ることはできない。
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有屋峠から先の工程は登山道整備が終わり、とても歩きやすい状態になっている。
この区間を歩くなら今年は絶好の機会だ。

水晶森へ向かう途中、急に通信反射板が現れるので毎度びっくりする。
神室ダムの通信施設にようで、国道交通省が管理しているのだろう。
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反射板がある地点から北の黒森を見る。
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標高1000m地点から水晶森を見上げる
写真では分かりにくいが、かなりな急登が控えている。
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水晶森山頂。
西へ10m程度草刈りされていて、その場所は神室山が見えるのだが、この時は雲が上がって何も見えなかった。暑い日差しを遮るものがない山頂のため、休まず先に進む。
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急坂を下って登り返した1030m峰から水晶森を振り返る。
ほぼ無風なのでとても蒸し暑い。
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地形図では読み取れない小さく急なアップダウンが限りなく続く。
時計回りのコース採りの場合、ステップの薄い急な上り坂が長いため、じわじわと体力を消耗する。
コース全般が展望のないブナの森を歩くので、先に進んでいる実感がない。
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1060m峰の登りの途中、前神室山を覆う雲が切れてきた。
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右奥に神室山の姿も見える。
しかし目は左のなだらかなピークから斜め右下に落ちる急な尾根を追ってしまう。
970mの鞍部から、あの急な尾根を登るのか、と思うと少し気持ちが萎える。
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1060m峰を越えたことは下りに入って初めて知る。
鞍部までどんどん下っていくが、この付近のブナ林は美しかった。
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急登の途中、南西側から心地よい微風が吹き抜ける場所があり、火照った身体をクールダウンさせるため10分ほど休憩を取る。
残りの水の量を考慮して水分補給を抑える。ここで残り1㍑。

1220mでようやく森林限界。
レリーフピーク(左)と神室山が見えた。
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夏の熱い日差しに緑が少し色褪せたブナの森を俯瞰する。
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灌木帯の登り。
左奥が前神室山の山頂。
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神室山の右には小又山と火打岳が見える。
この後、火打岳は雲に隠れた。
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展望に飢えていたので、何度も立ち止まり風景を写す。
登ってきた尾根を振り返る。
刈り払いが行われてから時間が経っていないため、道沿いに咲く高山植物はほとんどない。
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一箇所、灌木の背後に歩いてきた1060m峰(左)と水晶森が見える場所があった。
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水晶森分岐から前神室山までの工程は、刈り払いされておらず草薮が道を覆う。
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ヨツバヒヨドリが満開。
しかしアサギマダラは一羽も飛んでいなかった。
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ハクサンフウロ咲く前神室山の山頂。
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だが山頂に着いた途端、急に雲が上がってきて神室山の姿が見えなくなってしまった。
写真を撮るのは後回しにして、おにぎりとマスさんが持たせてくれたお菓子『きな粉饅頭』を食べる。
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20分ほど待つと、ようやく雲が切れて神室山が姿を見せてくれた。
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アングルを変えて何枚も神室山の写真を撮る。
雲が流れる風景はベタな構図にならず良い。

蒸し暑さで喉の渇きが半端じゃなく、神室山は今回パスして、八幡神ピークから有屋コースを下ることにする。
吊り尾根を歩いていると単独の男性とスライドする。

八幡神ピークの登りの途中、前神室山を振り返る。
稜線上は日差しを遮る場所がなく、風が吹き抜ける場所は僅かなため、暑くて嫌になる。
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虎毛山と栗駒山が見えている。手前の平な場所はマミヤ平。
平野部は雲海のに隠れて見えない。
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八幡神ピークで少し休憩。
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前神室山の左奥に水晶森が見える。
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有屋コースは急な尾根をジグザグに下るため、傾斜が緩くとられていて身体の負担は少ない。
どんどん標高が下がっていく感覚が心地よい。
しかし下るに従い気温がドンドン上がっていくのが実感できる。

神室山と避難小屋が見えている。
今年、近い内に調査に来なければならない。
涼しい9月に実施かな。
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ちょっと見ると春日神の文字が刻まれていることに気づき難い大岩。
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急坂の中間部のブナ林。
休まず一気に二股を目指す。
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二股まで降り、タオルを濡らして汗をふき取りさっぱりする。
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二股から少し下った地点にある崩壊地。
非常に危険な場所に見えるが、横切ってみるとガレ場の地盤は安定していた。
しかし上部からの落石に注意しながら速やかに通過したい。
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気持ち良い溪畔林を抜ける。
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二つ目の渡渉地点。
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途中、足場の細いトラバースがある。
カツラの巨木が随所に見られる。
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沢の右岸の道は単調な景色が続くため意外に長く感じる。
そして荒れた林道の終点に出て、ようやく登山道が終わり、楽に歩けるなぁ~と思ったら甘かった。
林道に出てすぐに夥しい数のアブに取り囲まれる。
ゆっくり歩いていると半袖から出た腕をザクザク刺されるため、大きく腕を振りながら小走りで進む。
しかし白いTシャツの上からも血を吸ってくるし、油断すると腕もチクチク刺されるので堪ったものではない。何か所も刺され、彼方此方に血を滲ませた末、ようやく有屋コースの登山口へ着いた。
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舗装道路を走って駐車場へ行き、急いでロック解除し、ザックなどをバックドアに積み込む。そして運転席のドアを開けた瞬間、車内に飛び込む。アブの猛襲を受けている状態で、汗に濡れたシャツを着替えたり、登山靴を履き替えるする余裕は一切ない。

急いで乗り込んだつもりでも、車内に20匹以上のアブが飛び込んできたようだ。
窓を全開にして走り出す。すると徐々にアブがいなくなってきた。
そんな状態でも血を吸おうとしてくる奴がいる。雌のアブしか血を吸わないそうだが、連中も子孫繁栄のため必死だ。

竜馬山の裾を走行中、ようやく最後の一匹のアブが車外に出ていき、国道13号線沿いにあるコンビニの駐車場まで行って、やっと登山靴を履き替えた。

体内の水分が抜けきった感じで、喉がカラカラなので、コンビニでペットボトル1.5㍑の緑茶を買い、半分以上一気飲みしたら、やっと喉の渇きが収まった。

やはり夏の神室連峰はいろいろな意味で大変である。
結局暑さに耐えながら18km強、累積標高差1630m歩いた。
本コースは秋の涼しい時期に歩くと楽しいと思う。

GPS軌跡(クリックで拡大)
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