11年ぶりに朝日連峰前衛にある大頭森山に登ってきた。
当初は別な山を予定していたが、このところ春霞が酷く、はっきり山が見える距離は凡そ20kmの範囲なので、その山は止めにして、近距離で朝日連峰の眺めが広がる大頭森山に決めた。

【 3/11 大頭森山(984m) 山形・朝日連峰 】
大井沢根子の除雪最終地点~大頭森山(往復)

根子の除雪最終地点の車道に車を停める。
他に2台駐車していたが、その車の主は大頭森山に登ってはいなかった。
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スノーモービルのトラックベルト跡を追って車道を歩く。
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トレースが残るここから入山。
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急坂を登っていく。
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上の写真の急坂を登りきる途中で山にMSRスノーシュー・ライトニングアッセント踵部分のベルトが切れた。
結束バンドでベルトをつなぎ、50mぐらい歩くと、急に右足が軽くなった。
足元を見たらバラバラに壊れたビンディングが靴に巻き付いていて、スノーシューのデッキの部分は雪の上に残されていた。車からここまでの距離は780m。
車道を歩いている時にはビンディングが破断する兆候はいっさいなかったが、急な斜面を登りだしたら、ビンディングが捻じれたために一気に破断したと思う。

ツボ足では30cm以上潜る雪質のため、ここから先は進めないと判断。いったん車に戻って、積んでいたワカンに取り替えた。結束バンドの補修時間を入れ、往復1時間のロスになってしまった。

車に戻って撮った写真。
右は加水分解して完全に壊れたビンディング。
左のビンディングも一部破断している。
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このスノーシュー、マスさんが13年前に購入し、今回はそれを借りてきた。
帰宅後ネットで調べると、ビンディングが壊れた事例と、それを修理した記事が出るわ出るわ・・・

この商品、ICI石井スポーツで購入しているが、保証書の類は見つからない。
まあ写真展が終わったら石井スポーツに修理可能か相談してくる予定だ。
部品が無かったら買い替えかなぁ~。デッキとフレームは全然問題がないのに・・・

しかし山中で壊れなくて、今回は不幸中の幸いだったと思う。
まあギアの詳細なチェックをしなかった私も悪いが、雪山で命を託す装備なので、こんなに簡単に加水分解してしまうのは問題ですね。ソール剥がれても何とか歩ける登山靴より深刻な問題だ。

気をとりなおして再び入山。
急坂を登り返した先に開けた場所があって月山が一望できた。
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視線を左に振ると石見堂岳(右)と赤見堂岳が見えている。
車で来る途中、取りつきの駐車スペースは何処も満車だったので、登っている方が多いようだ。
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竜ヶ岳が近い。
左奥に見える雪山は天狗相撲取山。目を凝らすと天狗小屋も見えていた。
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振り返ると寒江山と以東岳も見えている。
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過去のトレースに引っ張られ、登る予定だった尾根から外れてしまった。
いったん車道に合流。奥に見えるのが大頭森山のようだ。
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まあどの尾根を登っても大頭森山南側の尾根を目指せばいいので、GPSを見て適当にブナの森に入っていく。
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熊の爪痕が残る太いブナがあった。
雪山は登山道では見れないものが見れる点が良い。
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この一帯は過去に炭焼きでもしていたのだろうか?
基本的にブナは二次林で、その中に伐り残されたブナの巨木が散見する。
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途中、登る予定だった尾根に合流すると、登山者のトレースが残っていた。
登りでスノーシューが壊れた時に、追い抜いていった単独の男性が下ってくる。
結局、この日は我々2人とその男性の他には誰も登らなかった。

トラブルで車に戻った1時間のロスがここにきて問題になってくる。
気温の上昇とともに陽の光に照らされた雪が急激に緩んできたのだ。
過去のトレースを追っても30cmぐらい踏み抜くことが多くなる。

やがて大頭森山南側の910m峰と894m独標間の稜線に出る。
この右側、高さ25mぐらい下部に車道が通っているなんて信じられない光景だ。
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910m峰まで登ると葉山が霞んで見えている。
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稜線に立つブナの巨木。
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910m峰の雪庇上を歩く。まだ雪割れは出ていない。
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三又に分かれたブナ。
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上の写真の右側の幹から突き出た枯れ枝。
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910m峰まで登ると目指す大頭森山が姿を現す。
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標高差70mの急坂を登る。
日当たりの良い南斜面なので、雪が緩くズボズボ潜るため結構ハードな登りだった。
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11年前に登った時に風を避けて休憩した雪庇下。
今回は無風で暑い。
奥に見える山は寒江山。左端が竜門山。
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南東側には白鷹山が霞む。
左手前に見えるのは伏辺山。その右肩のサイズチ峰も確認できる。
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南側の展望。一番奥に頭殿山が見えている。
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展望台がある大頭森山山頂に到着。
冬期、展望台は雪囲いされていて登れない。
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北に月山、姥ヶ岳、湯殿山が並んで見える。
月山までの直線距離は約22km。この日はある程度くっきり見えるのはその距離が限界だったようだ。
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山頂から少し南西側に下ると朝日連峰の主稜線がすべて見渡せる。
大朝日岳までの直線距離は約13km。
写真は28mmの広角で撮っているが、自分の目で見るとかなり近い。
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左から鳥原山、小朝日岳、大朝日岳、中岳、西朝日岳、竜門山。
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小朝日岳、大朝日岳、中岳、西朝日岳、竜門山。
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視線を右に振って寒江山。
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梢越しに以東岳も望める。
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朝日連峰の大パノラマを眺めながらゆっくり休んだ。
マスさんお手製の和菓子「お祝い饅頭」。ゆずの香りが広がり、とても上品な味の饅頭だった。
2023031132お祝い饅頭

重いザラメ雪にワカンを履いていてもズボズボ潜ってしまうが、下りは登りに比べて非常に楽だ。
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910m峰の鞍部から東側を見る。
奥羽山脈は肉眼で辛うじて見えるだけ。写真ではまったく撮れない。
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910m峰に登り返す。
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11年前に歩いた時は南側の明手山に立ち寄ったが、今回の緩い雪ではラッセルが厳しく、行く気にもならない。ワカンなら多少の急斜面でもガンガン下れるので、最短距離を意識して下った。
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一部尾根筋は雪割れが発生しているので、北西の急斜面を一気に下る。
スノーシューでは怖くて下れないほどの傾斜があった。登りではこの尾根は使えない。
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往路に合流。潜る雪に辟易しながらブナの森を下って車道に出る。
小尾根に少し登り返した先が午前中に通過した展望地。

寒江山が午後の逆光を反射させている。
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斜光で凹凸を増した竜ヶ岳。
右奥に紫ナデと、その左奥に障子ヶ岳が頭を出している。
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二ッ石山の奥に以東岳。
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ラッセルで消耗したため、車道をショートカットせず忠実にたどって車に戻った。
次週は写真展会場に出ずっぱりのため山はお休み。
英気を養えた大展望だった。

GPS軌跡。
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