二本松市に用事があり、そのついでに今まで行く機会がなかった里山2山をマスさんと歩いてきた。
登山というより観光地巡りをした感じだった。

【 2/4 岩角山(337m)と大名倉山(576m) 福島・中通り 】
●岩角山:岩角寺駐車場~岩角寺本堂~岩角山山頂奥の院~岩角寺本堂~岩角寺駐車場
●大名倉山:臨時駐車場~名倉山登山口~本宮市境尾根~大名倉山(往復)

最初に向かうのは本宮市と二本松市の市境から僅かに本宮市側に入った位置にある標高337mの岩角山(いわつのさん)。花崗岩の巨岩群が露出する山だ。
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この山は平安時代、天台宗の慈覚大師によって開山されたといわれ、天台密教の道場として栄えた。
江戸時代には二本松藩主:丹羽光重公が信仰し、岩角寺(がんかくじ)の住職・豪伝が本山の復興に力と尽くしたと謂われている。

お寺の入り口にある説明看板。
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岩角寺の参道にある布袋様の石仏。
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この寺門は身長170cm以上の人は注意しないと確実に頭をぶつける。
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岩角寺本堂を左に見て、右側には岩角山の案内図が立っている。
時計回りに参拝するのが正式なルートの様だ。
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参道右手にある金華水
慈覚大師はこの湧き水で行を行い、身を清めて毘沙門天の彫刻を続けたと伝えられている。
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岩角山には西国三十三観音の他、菩薩、天王、天神など約808の点で掘られた像が点在しているとされる。古い時代に掘られた像はお姿が定かでないものもあるが、かなり険しい巨岩の上部に掘られた像もあり、いちいち歩みを止めて眺めてしまうため、全然先に進まない。
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巨木が立ち並ぶ参詣ルートに入る。
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西国三十三観音の第一番観音・如意輪観音
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一段上部にある毘沙門堂
現在の堂宇は1862年(文久2年)建立された。
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堂宇の彫り物が凄い。

左右に回り込んで見入ってしまった。
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毘沙門堂の西側にある岩窟弁天
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岩窟弁天の線刻。
開基の際に、この岩窟の中に一本の石の角が突き出ていて、それが山名の起こりになったとされている。岩角の長さは75cm、太さ15cmで、現在も寺の宝として保存されている。
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岩窟の左横から岩の狭い隙間を登る。
左手の大岩に掘られた観音様。
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よく踏まれた脇道が多方面に派生していて、正しく参詣順路を辿るのが意外に難しい。
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第13番観音。
この先で間違って畳石の方に行ってしまった。
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テーブル状の畳石。
瞑想の場であったとか。
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正式な参詣ルートに復帰して那智観音堂へ。
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木々の間から片曽根山であろうか? なだらかな阿武隈山地の山が見えていた。
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那智観音堂の西側にある子宝観音
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奥の院から北西方面に頂稜を辿ると胎内くぐりがある。
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少し下った地点に逍遥石が突き出ていて、この場所が安達太良山と吾妻連峰を望む展望台になっていた。走行する東北新幹線の車両も見えた。
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岩角山の山頂に建つ奥の院・阿弥陀堂。
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鞘堂の中に建つ阿弥陀堂は鎌倉時代の作と謂われる。
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第27、28番観音を巡るために山頂の東斜面を回り込む。
この地点は登山道の様な感じで、革靴を履いての歩行は厳しい。
こんな風に岩場を潜る場所もある。
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鉄製の階段を下りて振り向くと、石の間に根を伸ばす石割ソネ(イヌシデの別名)がある。
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ご年配の方が西国三十三観音を参詣するのは難しいか。
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この間歩いた竜子山を思わせる巨岩奇岩の道。
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この養蚕観音堂で三十三観音巡りも打ち止め。
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登山というより観光的なイメージが強い山だが、見どころがとても多く面白い山だった。
駐車場で次の目的地・大名倉山をカーナビ設定したら意外に近くて驚いた。

GPS軌跡。(狭い範囲で右往左往しているため、ログが滅茶苦茶です。)
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大名倉山は東北道安達太良SAのすぐ西にそびえる、山頂肩にアンテナが建つ山だ。
昨年4月に白河市の天狗山に行ったときに、同行したebiyanさんから大名倉山の事を聞いて、登ってみたいと思いながら現在に至っている。
中通りの平野部に岬状に突き出た格好の山のため、この山一つだけ登るために行くのは勿体ないと感じていた。

最初の予定では山の東麓にある蛇ノ鼻遊楽園の駐車場に車を置いて、大きく半時計回りに周回するつもりであったが、現地に着いてみると風が強く、中道地区まで吹きっさらしの車道を歩く気がしなくなり、単純に大玉村側の名倉山登山口から山頂を往復するルートに変更した。
因みに蛇ノ鼻遊楽園の蛇は大名倉山を七周り半もする大蛇がいたという伝説、そして鼻は山の東端が平野部に突き出ている様子を現している。

名倉山の道標に導かれて中道地区の狭い車道を進み、山裾にかかったところに臨時駐車場があった。
ここから上部の道は未舗装で荒れているという記録を見ていたので、この駐車場に車を停めて歩き出す。
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上部の駐車場までは私の四駆の車なら簡単に走行できたと思う。
林道を登っている途中2台の車が坂を下りてきて、この大きな駐車場には一台の車も無かった。
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駐車場の東奥に名倉山登山口がある。
大名倉山と名倉山の違いは? と少し混乱するがアンテナが建っている南東側495.1m三角点ピークが名倉山で、北西の最高点が大名倉山と解して間違いないようだ。
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登山口の案内図。
なるほど、この登山道はできてから9年しか経っていないのが分かった。
東北道や国道4号から見える採石場の道を利用したと納得。
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採石場は使われなくなってかなり時間が経っているようで、登山道は周りが木々の覆われ、全然作業道を登っている感じがしない。
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分岐は常に高い方を目指せば良い。
右手に「マムシ注意」が掲示されていた。
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切通しを通過。
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東北道から見える採石場の崖が見える。
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登山口から半分来た。
この先、アジサイが植生された広場を過ぎると階段が出てくる。
そこから上部、本宮市境の尾根までが新規に作られた登山道であった。
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階段を交えて雑木林の中を一気に登る。
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九十九折りの道。
春にはカタクリが咲くようだ。
南東側に梢越しに名倉山のアンテナが見える。
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この手すりがついた急な階段を登ると本宮市と大玉村の市村境の尾根に出る。
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もともとあった本宮市側の広い登山道を登る。
尾根の西側はアカマツが植林されている。
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最後の急坂を登ると南北に広い大名倉山の山頂広場に出る。
広場の南端から郡山市街が一望できた。
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大名倉山山頂から安達太良山の大展望台だ。
南北に長い安達太良山の稜線を南側から見る恰好になる。
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安達太良山。
少し雲を纏っているが、肉眼では山頂の乳首も見えていた。
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西の大滝山、川桁山方面。
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北麓の大玉村の街並み。
右奥に女神山や霊山が遠望できた。
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少し視線を右に振ると、花塚山、木幡山、口太山が見える。
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東には本宮市街地、右下に登山口がある中道地区、阿武隈SA手前に蛇ノ鼻遊楽園。
そして阿武隈山地の左から麓山、日山、竜子山、移ヶ岳が見えた。
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南東を見ると桧山、大滝根山、その手前に片曽根山、羽山、鞍掛山と黒石山の連山が望める。
その他、写真はアップしていないが、山頂広場南端から一盃山、蓬田岳や東山、宇津峰まで望め、大名倉山は正に阿武隈山地中通りの山々の大展望台を満喫できる山であった。
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山頂の北側から東側にかけて下部が採石場の崖になっているようで、柵が設けられている。
景色を楽しめるベンチも置かれていて、晴れた暖かい日には景色を眺めながら最高のランチが楽しめそうだ。阿武隈山地から昇る朝日も素晴らしいだろう。
山頂の一角に植物保護目的の簡易的な柵があったが、山頂で出会った地元の方に伺ってみると5月にスズランが咲くらしい。地元の方々の愛されている山だと感じた。

山頂は冷たい北西風は吹き抜け、ベンチに座って休憩する気にならず、南側に少し下がった日だまりの場所でランチにする。

マスさんお手製のケーキ『クグロフFUJI』が美味しい。
切り分けると米油を使った軽やかな苺ジャムのピンクの生地と、緑の抹茶の生地が現れ、酸味と甘みがマッチするケーキだった。温かいコーヒーを飲んで落ち着く。
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帰路は往路をそのまま下る。
本宮市側のコースはほとんど林道歩きに終始するようで、歩かなくて正解だった。
下る途中で3組4名の登山者とすれ違った。人気の山である。
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大玉村側から大名倉山を見る。
午後の逆光で採石場跡が影になってしまった。
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小さな山であるが、山頂からの展望は一級品の山だった。
山は登ってみて初めて評価できると思う。

ところで山頂で出会った地元の方だが、どこかで会った方だと思い、その方が帰り際に話しかけてみたら、山友のmaronnさんの福島のお友達で、2018年7月に一切経山のラクダ山で途中から行動を共にしたSさんと分かった。山の世界は広いようで狭い。

GPS軌跡。
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