前日は湿った雪が降った。
2月の春の様な天気とは一転して、3月になってから南岸低気圧が度々通過し太平洋側でも雪が降る機会が多くなっている。
しばらく写真展の準備や、執筆原稿の校正作業に追われ、しかも天気が定まらないことも重なって山を歩いていなかったが、運動不足も甚だしいので近場の森林公園?を軽く歩いて汗をかいてきた。

【 3/7 金剛沢治山の森(最高点202m) 宮城・仙台市近郊 】
鈎取野鳥の森入口~金剛沢治山の森最高点~八木山南団地~恐竜山~越路山~鈎取野鳥の森入口

鈎取山というピークは存在しない。
国有林の「鈎取野鳥の森」、もしくは「金剛沢治山の森」一帯を地元では鈎取山と称している。
そのため私はそこに存在する遊歩道は太白山から仙台市青葉の森緑地を結ぶ通過点としか位置付けておらず、何時も西側の歩道を通過するだけの存在だった。

久しぶりに風が弱く晴れた7日。
フクジュソウ咲くビオトープから蕃山を歩いてこようと思っていたが、前日積もった雪で登山道が滑りやすくなっていると懸念し、今まで深く探求していなかった鈎取山一帯と、未踏の恐竜山、越路山を巡る軽い山歩きをする方に決めた。

鈎取山を歩く場合、一番困るのが駐車場の問題だ。
八木山方面には地下鉄八木山動物公園駅の駐車場しかないため、青葉台の鈎取野鳥の森入口案内板前の広い路肩に車を停めて歩き出した。(駐車スペースは2台程度)
2024030701

この遊歩道は「鈎取野鳥の森(仙台森林管理署)」、「金剛沢地区・治山の森(仙台森林管理署)」、そして「モミの山・仙台自然休養林鈎取地区(青森営林局仙台営林署)」と三つの看板が設置されていて、どれが正式名称か混乱する。
表記の順に新しい看板なので、現在の名称は仙台森林管理署としては「鈎取野鳥の森」なのであろう。
「金剛沢地区・治山の森(仙台森林管理署)」はこの一帯が地滑り地帯で、かつて大規模な治山工事が行われたときに命名された名前と思う。国土地理院の地形図には「金剛沢治山の森」と標記されている。実際歩いてみると彼方此方で水抜き工事が行われた跡があった。

前日の雪は日陰部分や北斜面に残っているが、歩く人の絶対数が少ないので泥濘で滑るところはほとんど無かった。
2024030702

「金剛沢治山の森(仙台森林管理署)」の最高点と思われる場所に山名板が付けられている。
GPSで確認すると標高202m。
過去、里山文庫によって便宜的にこの場所が山頂とされたようだが、何度も言うけど鈎取山という固有のピークは存在しない。
2024030703

野鳥の森西側の自然遊歩道を歩く。
以前伐採されて太白山が一望できた場所は木々が伸びて視界が狭められてきた。
2024030704

マンサクの花が咲いている。
この日、目の前に咲いている花は皆無で接写できず残念だった。
2024030705

太白山方面へ向かう分岐で、太白山に行くか否か少し悩む。
参道ルートは立ち入り禁止なので、唯一登山可能な北コースを往復する必要があり、薄雪が積もった状態での急坂の登降は危険と判断し止めにした。
東日本大震災の後、参道ルートはしばらく立ち入り禁止になっていた。しかしそれを無視して多くの登山者が歩いていたため、なし崩し的に立入禁止が解除された経緯がある。それと同様に今は解除されるのを待つしか無い状況と思う。
自己責任とか言って歩いている方もいるが、もし落石が当たり死傷した場合、刑事もしくは民事裁判に持ち込まれることを地権者は最も危惧していると思う。今はそんな時代だ。

佐保山貯水槽方面に向かって尾根筋を歩く。
2024030706

送水管の上に出た。
2024030707

貯水槽から右折し、南東に伸びる尾根筋を進む。
途中からスギの造林地に入り、景色が単調になって面白みがなくなる。

このまま尾根を直進するとひより台大橋の下に出てしまうので、道標のない分岐を左折し尾根から離れた。九十九折の急坂を降りると沢筋に出る。これが金剛沢か?
2024030709

林道に合流するとその一帯の木々にキヨスミイトゴケがたくさん着床していた。
この苔、雑記帳の方にサルオガセと書いたら、読者の方から間違いをご指摘され訂正した。
夥しいキヨスミイトゴケの群生は深山の中に入ったような気分にさせてくれた。
2024030710

林道を下って行くと、沢の左岸に黒々とした岩場が見えたので立ち寄ってみる。
2024030711

基部が河川浸食で掘り込まれたのか、オーバーハングした岩場はなかなか見ごたえがあった。
2024030712

岩場の先から遊歩道ヒヨドリ線が左に分岐する。
この道を登って八木山南団地の上部へ行く。
2024030713

暗いスギ林を登って行くと雑木林に変わり、背後に太白山が見えてくる。
2024030714

太白山のアップ。

2024030715

八木山南五丁目の上部まで登ってくると、梢越しに南側の眺望が少し開けた。
2024030716

少し木が邪魔だが南蔵王も見えている。
2024030717

この付近の明るい雑木林がこの日のハイライトか。
2024030718

中央蔵王の熊野岳は雲がかかって見えない。
2024030719

マンサク。
2024030720

モミ線を通って金剛沢入口まで行くのは恐竜山に行くためには結構な迂回になるので、途中の分岐を右折して八木山南団地へ下った。
団地内に出た場所は国道286号から八木山南直線的に伸びる市道の北西端だった。
この付近は駐車禁止になっている。
2024030721

八木山南団地から仙台赤十字病院北側の金剛沢市有林入口まで約1kmロードを歩く。
2024030722

お昼過ぎたので広場のベンチに座り昼食をとる。
仙台赤十字病院は現在、宮城県が進めている4病院再編による名取市移設問題で地域住民と揉めている最中だ。日本赤十字社が運営する全国90病院の内、23病院が厚生労働省が示す再編検証リストに入っているらしい。仙台赤十字病院はこのリストに入っていないが経営不振に喘ぎ、多額の税金でなんとか成り立っている状況らしい。
じゃ県が主導する仙台赤十字病院と県がんセンターを名取市に再編整備することで、総合病院の経営が改善されるか、と問われると、県から明確な答えが返ってこない状態だ。
箱(建物)のハード面を整備しても、現在働いている医師や看護師が全て新設の病院に移ってくれるかも分からない。私はこの地域に住んでいないし、この病院で働いてもいないので、正しい答えは分からない。難しい問題である。
2024030723

食事を終えて歩き出す。
木にこんな看板が取り付けてある。
番号と足のマークの意味が分からない。
帰宅後調べてみると八木山まちづくり研究会が設定した八木山の街を歩いて散策するためのコース表示の様だ。「3番」は「金剛沢・恐竜山コース」を示している。
2024030724

途中標識があり直進すると金剛沢東口や西口へ行ってしまうので、とにかく高いところを目指そうと北側のフェンス沿いに登っていく遊歩道に入った。
眼下に八木山本町の宅地が望める。
2024030725

東屋が建つ場所が最高点で、ここが恐竜山のようだ。
恐竜山とは八木山団地が造成された当時、残された緑地の姿が恐竜に似ているという事から地元の方々に呼ばれた名前と聞く。別にくじら山とも呼ばれるらしい。
2024030726

南側の木に恐竜山の標識が付いていた。間違いない。
2024030727

フェンス沿いに下り八木山本町口に出る。
広い市道を押しボタン信号で渡った先にご覧の標識が付いていた。
はっきり言って登山者の私から言わせてもらうと、この鳥瞰図的マップはまったく分からない。
一番町の金港堂で八木山散策マップを販売していて、それを見た事があるが平面的な二次元の地図ではなくまったく地形や距離感が掴めない作りだったので買わなかった。
現に③の矢印の左に書かれている「青葉山・八木山 奥の細道コースに合流」の記載を信じて左折したが、急な階段を登っていく正規のルートに何らの標識がなかったため、無駄な道筋を歩いてしまった。
標識に一言『急な階段を登る』と書けばいいものを・・・
2024030728

歩道を登って行くと、八木山本町地区と長町方面が一望できた。
2024030729

長いロード歩きをしたもう一つの目的は三角点の設置された越路山に立ち寄ることだ。
しかし車道沿いにずっとワイヤーフェンスが作られていて山に入る場所がない。
これは登れないかな、と思っていたら赤テープがある場所でワイヤーが切られている。
そこから少しヤブを漕いで登ると意味不明の石段の前に三角点が設置されていた。
2024030730

東北朝鮮初中級学校方面へカーブする車道にまた標識が設置されていた。
御城林の古道と記載されているので、ここから山道に入ると勘違いする。
2024030731

山道は倒木が多く歩きにくい。
しかもヒメアオキの木が道に張り出していてハイカーが歩くような道ではなかった。
金剛沢治山の森のサクラ線に出たところから歩いてきた道(左)を振り返る。
2024030732

サクラ線から南へ下り、水道局配水所を経て渓流線を登り返すのは一苦労なので、マンサク線から車道に出て、金剛沢治山の森入口まで帰ることにした。
2024030733

車道歩きが多く、人にお勧めできるコース採りではなかったが、金剛沢治山の森は冬の日だまりハイクにはちょうど良い場所と思った。
(注)後から分かったが越路山は法人所有の私有地のようです。

GPS軌跡。
2024030734