この日は2016年から営業を休止している栗子国際スキー場西側に聳える鉢森山に登りに行った。
しかし駐車場に車を乗り入れると、その左側の旧食堂のオーナーと思われる高齢の男性が現れ「何しに来た!」「登山は危険だ!」「このスキー場は私有地なんだから立ち入り禁止だ!」とまくし立てられた。
私の前に登山目的で来たと思われる男性3人組も、この高齢の男性に文句を言われていたようで、車に乗って立ち去っていった。
「最近、ここから鉢森山に登っている人の記録を見ているし、ゲレンデにつけられたスキーのシュプールは何だ!」と言うと、「スキー場の関係者が遊びに来ていたのだろう」と屁理屈を捏ねている。
最後に「1万円だせば登らせてやる」とまで言われ、呆れて登る気が失せてしまった。
家に帰ってから栗子国際スキー場の権利者を調べてみたら、運営会社のプラネットワークは音信不通の状態らしく、この一帯の土地は地元の地権者でつくる板谷共有土地管理会(宗川宗一会長)が管理している事が分かった。宗川氏は五色温泉の元経営者で、現在は鉢森山南側に4基設置された風力発電施設の管理者として勤務しているらしい。
今回はどうも高齢の男性が住む旧食堂の敷地内に入ってしまったコチラ側に問題があったようで、鉢森山にゲレンデから入山する場合は国道13号線の広い路肩スペースに車を駐車し、スキー場の除雪されていない表駐車場から入山すれは文句は言われなかったような気がする。

と言うことで、河岸を変え、米沢市の南西に屏風の様に連なる斜平山へ転進した。

【 3/16 斜平山(笹野山・660m) 山形・米沢市近郊 】
愛宕神社参道駐車場~愛宕神社~斜平スカイツリー~笹野山(往復)

斜平山(なでらやま)は北の羽山から南へ愛宕山、笹野山、栃窪山、そして船板峠まで連なる直線距離約7kmの山塊だ。平らな山稜と対称的に東斜面が屏風の立てたような急斜面になっていることから斜平山の別称がある。
この特異な山容は長井盆地西縁断層帯に起因する地震により、斜平山の東面に大規模な崩落が起きたためとされている。
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この山は2021年11月20日に登ったが、積雪期には初めて訪れる。
片倉山から登るのは雪があると厳しいため、今回は愛宕神社の参道を往復するルートに決めた。
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この建物別荘???
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と思ったら米沢の里山愛好会が管理するあたご山荘だった。
前回歩いた時は旧参道を下ったので、ここに山荘があるのは分からなかった。
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あたご山荘から上部はずっと雪を踏んで歩く。
ようやく雪山っぽい雰囲気になってきた。
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参道(林道)の途中で羽山を振り返る。
湿った足を取られる雪で歩行ピッチは大幅に落ちてくる。
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ジグザグに高度を上げる参道。
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無雪期はこの石碑がある手前まで車で入れる。
愛宕山まで後ひと登りだ
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伊達や上杉の殿様の信仰を集めた愛宕神社
頑丈に冬囲いされている。
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愛宕神社の広場から米沢市街地を見下ろす。
背後の蔵王連峰には雲がかかっている。
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南東には栗子山塊
この時点ではまだ霞がかかってクリアな視界が得られなかった。
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崩落崖の奥に聳える笹野山
鉄塔のあるピークが山頂だ。
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愛宕山で私はワカンを装着。
同行したmaronnさんはツボ足のまま。
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稜線はマンサクが花盛りだった。
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トレースの無い巻道を右に見て稜線上を直進。
唯一の難所? クサリが付いた急坂を登る。
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雪で足場が出来ているため、クサリを掴まなくても登れた。
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途中の小ピークから愛宕山を振り返る。
背後の朝日連峰主稜は雲の中。
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登山道脇に咲くマンサク
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ノブ覗きの標柱が立つ小ピークに着く。
ノブの意味は調べても分からなかった。
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険しい雪襞を纏う栂峰の姿が美しい。2024031621

ノブ覗きの南側、634mピークは通称・斜平スカイツリーと呼ばれている。
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斜平スカイツリーではこの山塊随一の展望が広がっている。
まず誰もが真っ白な飯豊連峰の山容に目を奪われるであろう。
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蔵王連峰の稜線にかかる雲が無くなってクリアに見えている。
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東には栗子山と杭甲山。
昨年の晩秋に登った早坂山が左下に見えている。
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登るのを断念した鉢森山
4基の風力発電の風車が確認できる。
まあ何れ別ルートから登ろう。
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斜平スカイツリーを後にするご夫婦の奥に朝日連峰の主稜が見えてきた。
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雪庇が張り出す稜線をたどって笹野山を目指す。
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マンサクを見つけるとその都度写真を撮ってしまう。
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笹野山が近づく。
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笹野山山頂は南北に広く、二基の通信アンテナが建っている。
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山頂広場の真ん中に小さな丘があり、そこに三角点が設置されている。
山名標識は無い。
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深い雪を踏んで山頂広場の南端まで行くとケーブル越しに吾妻連峰が望めた。
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手前の通信アンテナの建物を利用し、風を避けて休憩する。
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食後にマスさんが持たせてくれた彼女お手製の和菓子「お花畑」を食べる。
休憩中に後続の7名パーティが山頂に着いた。
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帰路は大人数に雪が踏まれたので、ワカンはいらないと判断。
ツボ足で歩くが、強い日差しに雪が湿って緩くなり、何度か雪を股まで踏み抜いて苦労した。
雪庇は底が硬くなっていないため、写真を撮るために少し右に寄るとすぐに踏み抜いてしまう。
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蕾が大きくなってきたタムシバ
新緑の頃には稜線一帯で咲き誇るのであろう。
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斜平スカイツリーまで戻ってきて、再び景色に見惚れる。
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望遠ズームレンズに交換して栂峰をアップで撮影。
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飯豊本山のアップ。
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ユキツバキが群生する場所を通過。
何故かこの場所にだけユキツバキが多い。
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朝日連峰。大朝日岳と祝瓶山の二つの尖りが目立つ。
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愛宕山まで戻ってきた。
霞みが取れた吾妻連峰と笹野山の写真を撮ろうと東側に寄ったら、アカマツ幼樹の雪孔に腰まで落ち、脱出する際にもがいた足が痙攣してひどい目にあった。
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後は参道を下るのみ。
稜線より積雪量が減るので歩きは楽になる。

あたご山荘前から米沢市街地を望む。
山荘から見る夜景は素晴らしいだろうと羨ましく思った。
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帰路、道の駅米沢に立ち寄りお土産を購入。
積雪期の斜平山は雪庇が連なる光景が低山を感じさせず、非常に満足できた山歩きとなった。

GPS軌跡。
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