笙ヶ岳を2年ぶりに訪れた。
あの時は滅多にお目にかかれない様なニッコウキスゲの当たり年だった。

この日は国道47号を西進して最上峡を抜けるまで、月山に行くか、鳥海山に行くか迷っていた。
しかし晴れの天気予報に反して空は靄が酷く、遠望の利かない八合目から月山への尾根歩きを止めて、鳥海山へ車を走らせた。

八幡町を抜けると靄の空に赤い太陽が登り、鳥海山が薄くシルエットになって見えていた。
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鳥海ブルーラインを走行して鉾立へ向かう。
朝5時半ちょうどに鉾立に着いたが、時既に遅く駐車場は満車。
後で山中、単独の男性に話を聞いたら未明の3時には駐車場が一杯になっていたらしい。
道路の広い路側帯にもたくさんの車が駐車し、車道を歩いて登山口へ向かう登山者が多い。
咄嗟に吹浦登山口へUターン。
コチラの駐車場は未だ10台程度空きがあった。
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風が止まった伝石坂の急坂は何度登っても嫌だなぁ~と感じてしまう。
しかし見晴台に出て涼しい風に吹かれると、毎回イイ山だなぁ~と思ってしまう自分がいる。

靄でまったく遠望が利かない灌木帯を登って、小さな高層湿原がある清水大神に着く。
イワイチョウは咲き始めの状態だった。
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清水大神から先は花の数が一気に増えてくる。
タカネアオヤギソウ。
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ニッコウキスゲ。
長坂道にどの程度咲いているのか気になった。
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樋(とよ)のチングルマは花が散っていた。
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今はイワイチョウの季節。
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灌木を抜け樋の上部まで登るとチングルマが咲き誇っている。
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河原宿に出てびっくり。
7月中旬で雪渓が消えているのを初めて見た。
雪渓歩きを楽しみにしていたのに・・・
この時、霞む新山の姿を見て鳥海山山頂に登るのを止めにして、笙ヶ岳と御浜一帯で遊ぶ事にした。
こんなに靄が酷い状態では写真にならないし、物凄い数の登山者が山頂を目指しているため、登山道でのすれ違いの煩わしさや、山頂での渋滞を嫌ったのである。
平日、祓川から登った方が楽しそうだ。
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愛宕坂分岐の少し上から河原宿を振り返る。
雪解けが早かったために、付近のチングルマの花は終盤だった。
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ミヤマシオガマ。

この一帯はまだ咲き始め。
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長坂道T字路に出る。
2年前のニッコウキスゲの爆発的開花に比べて密生度は高くないが、お目当ての群生を見られたので満足。
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霞む鳥海山とニッコウキスゲ
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岩峰を越え、笙ヶ岳三峰との鞍部へ下る。
ニッコウキスゲが群生して美しい。
余談であるが、この鞍部から河原宿へショートカットする道は雪が消えた時点で通行止めになっている。分岐するその道は石が積まれていたが、現地に通行止めの表示がないため、歩く登山者が結構見受けられた。
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ニッコウキスゲの中にハクサンフウロが咲いている。
ハクサンフウロは咲き始め。
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三峰の登り。
道の西側斜面にはハクサンイチゲが群生していた。
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三峰の山頂付近のニッコウキスゲがこの日一番の見どころであった。
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二峰へ向かう。
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三峰から笙ヶ岳までの区間はまさにフラワーロード。
鳥海山随一のお花畑が見られる。

コバイケイソウはあまり群生せず、単独で離れて咲いている。
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木の背丈がとても低いガクウラジロヨウラク
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盛夏の花・シロバナトウウチソウは咲き始め。
同様にハクサンシャジンも咲きだしていた。
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あまり目立たないミヤマコウゾリナ
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ハクサンチドリは終盤。
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コシジオウレンも終盤。
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穂になり始めたチングルマ
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ミヤマキンポウゲ。
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笙ヶ岳山頂に到着。
山頂一帯のニッコウキスゲは2年前に比べて花数が少ない。
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万助小屋と長坂道下部が見える場所で長めに休憩を取る。
雲が上がってきて庄内平野や日本海の海岸線はほとんど見えない。
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温かいコーヒーを飲んで一息つき、マスさんお手製のお花を模した練り切りを食べる。
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山頂では群馬からいらした男性と、仙台からいらしたグループの方々とお話できた。

山頂から同じ道を引き返す。
二峰から見た三峰。
この頃から登ってくる登山者が多く、笙ヶ岳の人気の高さがうかがえた。
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相変わらず新山と外輪山の姿ははっきり見えない。
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奥に見える小さな雪渓が鳥海湖へ向かうルート上にある。
この雪の量なら急な傾斜雪渓の上か下を簡単に巻いて通過できそうだ。
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長坂道T字路に戻ってきた。
休まず通過する。
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鳥海湖分岐付近から笙ヶ岳を振り返る
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チョウカイアザミは咲き始め。
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傾斜がきつい雪渓は上を巻いて通過した。
酒田東高校の山岳部?のグループが2組に分かれて雪渓を通過していた。
今どきの高校山岳部は女の子の部員の方が多くて驚いた。
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鳥海湖から見た鳥海山。
真ん中の島は豪雨でかなり水没した様で、咲いていたニッコウキスゲの花が水面下に沈んでいた。
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鳥海湖の東岸から御浜を見る。
御浜から鳥海湖へ直降する登山道は通行禁止になっていた。
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千畳ヶ原分岐を左折して御田ヶ原へ向かう。
この場所で知り合いにBLUEさんに出会う。
毎回、鳥海山の何処かでお会いしている感じだ。
立ち話をして千畳ヶ原へ向かうという彼女と別れた。
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鍋森を振り返る。
御田ヶ原へ向かう道筋にはニッコウキスゲ以外の花は少なかった。
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雲湧く千畳ヶ原を見下ろす。
昨年、檜ノ沢を遡行して下った時の記憶が蘇る。
うだる様な暑い日だった。
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この付近はヒナザクラが咲き始めていたが、花数が少なく写真には撮らなかった。
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新山と外輪山のアップ。
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御田ヶ原の下部はハクサンイチゲが見ごろだった。
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御田ヶ原から新山を見上げる。
どんどん雲が湧きあがってきて、新山や外輪山の姿が見え隠れしていた。
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御田ヶ原上部から鳥海湖と雲に隠れた笙ヶ岳を見る。
この一帯は風衝植物の群生地だが、この時は花の端境期で、終盤のミヤマシオガマ以外、見るべき花が少なかった。トウゲブキが咲き始めているので、後2週間後には盛夏の花が咲き誇るであろう。
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御浜近辺に咲いていたウサギギク
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たくさんの登山者が休憩している御浜小屋では休憩を取らず、そのまま尾根を直進して長坂道T字路を目指す。
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鳥海湖が望める場所で、新山が雲から顔を出すところまで待って写した一枚。
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この日はニッコウキスゲの最盛期には少し早かったようだ。
長坂道の鳥海湖分岐から上部の尾根筋はニッコウキスゲの蕾が多く、これから1週間後が一番華やかかもしれない。しかし今後は雨模様の日が多い予報なので、晴れには期待できない。
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雲湧く笙ヶ岳。
クリアに見えるより、夏山らしい景色と思う。
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ニッコウキスゲと鍋森。
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長坂道T字路から往路を戻る。
ここでニッコウキスゲの花園は見納め。
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後は河原宿と短い休憩を取った以外は休みなく一気に吹浦登山口へくだった。
見晴台から伝石坂に入ると、風が吹かず暑いこと暑いこと・・・
ニガナの花ばかり見ながら暑さに辟易してくだった。
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吹浦登山口へ戻ったら、駐車場に停められない車が何台も路上駐車していた。
この日、何人の登山者が鳥海山に登ったのであろうか。
まあ人だらけの山頂を避けて、早い時間帯から笙ヶ岳近辺で遊んで正解だったと思った。
おそらく月山も同様の状態だったろうね。

GPS軌跡。
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